The previous night of the world revolution~P.D.~
「これで分かったよね?さぁ、彼を出して。私達が連れて行く」

「…ふざけるなよ、お前」

有無を言わせないブロテの態度に、ルルシーの堪忍袋の緒が切れた。

怖い怖い。

ここまでぶちギレたルルシーの姿を見るのは、久し振りだ。

「権限が何だって?制度が何だって?知ったことか。ルレイアは渡さない。何があっても」

「あまりに抵抗するようなら…脅したくはないけど、公務執行妨害で君を逮捕することになるよ」

脅したくないと言いながら、めちゃくちゃ脅してる。

しかし、その程度の脅しに…屈するルルシーではない。

「やれよ」

むしろ、煽る始末。

ルルシーもこういうとき、あんまり俺のことをとやかく言えませんよね。

頭に血が上ると向こう見ずになるのは、俺と一緒だ。

案外俺とルルシーは、似た者同士なのでは?

…更に。

「ルルシーの言う通りよ。あなたが何を言おうと、ルレイアは渡さないわ」

シュノさんもまた、ルルシーと同じだった。

ブロテの脅しに怯むことなく、むしろやれるものならやってみろとばかりに、挑戦的な目をして言った。
 
脅しが効かない人だらけですね。

まぁ、脅しが怖くてマフィアの幹部をやってるような者は、ここには一人もいないけど。

「私達も逮捕したいなら、すれば良いじゃない。ルレイアと同じところに行けるなら何も怖くないわ」

「誤解しないで。私達は、ルレイア卿を逮捕しに来たんじゃない」

「じゃあ、何をしに来たのよ?」

喧嘩腰のシュノさん。

「保護しに来たんだよ。この令状は、ルレイア卿を保護する為に発行されたものだから」

「…保護…?」

…ふーん。

物は言いようですよね。

本人の意志とは関係なく、無理矢理連れて行くことを「保護」と呼ぶとは。

白々しいにも程がある。

「…馬鹿にするな」

これには、ルルシーもぶちギレ。

いや、さっきからずっとキレてますけど。ルルシー。

「そんな下らない名目で…ルレイアを、みすみすお前の手に渡すはずがないだろう」

「私はただ、彼と話がしたいだけだよ。期限が終われば、必ず解放する」

「信じられるか。期限が来たら、また何だかんだ理由をつけて拘束するんだろう」

「約束する。帝国自警団団長の名において」

と、ブロテは必死に説得を試みていたが。

ぶちギレ状態のルルシーに、ブロテが何言おうと通用しなかった。

「お前達を信用するものか。ルレイアは俺の…俺の一番大切な親友。家族なんだ。あいつと離れるくらいなら、殺された方がマシだ」

…ルルシー…。

「そうよ。家族を売るはずがないでしょう。連れていきたいなら、私達も一緒に連れて行きなさい」

…シュノさんまで。

二人にここまで言ってもらって、俺は感激ですね。

…じゃあ、そんな優しい二人の為にも。

そろそろここいらで、俺も口を挟ませてもらいましょうか。

「…良いですよ、あなたについていきましょう」

「!…ルレイア…!?」

俺の登場に、ルルシーもシュノさんも驚愕の表情だった。
< 180 / 634 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop