The previous night of the world revolution~P.D.~
「保護期間は最長で一ヶ月。一ヶ月が終わったら、ちゃんと戻ってきますよ。…ここに」

『青薔薇連合会』に。ルルシーのもとに。

家族のもとに。

「…それは約束してもらえるんですよね?」

俺は念の為、二人の前でブロテに確認してみせた。

すると、ブロテは当然のように頷いた。

「勿論。一ヶ月を越えて、君を保護する権限はないから」

…ですよね。

「俺は必ず戻ってきます。戻ってきますから…俺が戻ってきたとき、あなたが迎えてください、ルルシー」

「…ルレイア…」

その方が良い。

その方が…ずっと気持ちが楽ですよ。

「でも…。でも、俺はお前を、一人で…」

「あなたが逮捕されるようなことがあったら、俺は心配で夜も眠れませんよ。あなたが拘束されることで、俺を苦しめるつもりですか?」

「…!」

これは効いたようだ。

ルルシーははっとして、そして唇を強く噛み締めた。

そう、そうですよ。

あなたにもしものことがあったら、俺だって死ぬほど苦しいんだって、覚えておいてくださいよ。

あなたにとって、そうであるように。

俺にとってもルルシーは、世界で一番大切なしんゆ、いえ。

恋人ですから。

「必ず戻ってきます。しばらくの間、俺の部下と、お店と、ハーレム会員を頼みますね」

部下とお店は、華弦が何とでもしてくれそうだから。

ルルシーには、ハーレム会員の方をくれぐれも宜しく頼みたい…と思ったのだが。

「…お前のハーレム会員を、俺ごときが御し切れる訳ないだろ」

そうですか。

それは残念です。

ルルシーの魅力なら、イケると思うけどなぁ。

「…だから、必ず戻ってこい。ここに…俺のもとに」

「えぇ、勿論です。…シュノさんも、後のことお願いしますね」

「…分かった。ルレイアが、そう言うなら…」

苦渋の決断で、シュノさんも何とか頷いてくれた。

…済みませんね。

この場にはいないけど、ルリシヤやルーチェス、アイズレンシアとアリューシャにも。

俺の不在…程度で、『青薔薇連合会』は揺るがないと分かっているけど。

「…では行きましょうか、ブロテさん」

「うん。行こう」

手錠をかけられることもなく。

ブロテは俺を連れて、『青薔薇連合会』本部を後にした。

ルルシーとシュノさんが、いつまでも去っていく俺の背中を見つめているのは分かっていた。

でも、俺は一度も振り返らなかった。
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