The previous night of the world revolution~P.D.~
「我々が下手に手を出してしまったら、ルレイア先輩の立場を悪くしてしまう。逃亡や脱走の恐れあり、と閉じ込められるかもしれないんだ」

「…」

「保護目的で捕まってるだけなら、連行されたと言っても、それほど悪い扱いは受けていないはずです。自分から出頭したのなら、ルレイア師匠も色々と考えた上で同行してるんでしょうし」

ルリシヤの説明に、ルーチェスが補足した。

…俺もそう思う。

自分からブロテについていってのだから、ルレイアもそれなりに考えがあるのだろう。

…そんなことは分かってる。

分かってるけどさ…。だからって納得出来ないだろ。

「口惜しいのは分かるよ。でも、私達は敢えて動かず…ルレイアに任せよう。一ヶ月が過ぎて、無事に帰ってくるように…」

「…何だよ、それ。それで納得しろってのか?」

アリューシャは、珍しくアイズの言葉を拒絶した。

「ルレ公が!仲間が捕まってんのに、何もせず大人しくしてろってか?」

「…そうだね」

「見損なったぜ!どんな理由があろうと、困ってんなら助けに行くのが、家族の役目ってもんだろ!」

…耳が痛いな。

本当に、耳が痛いよ。

しかし。

「…アリューシャ。気持ちは分かるわ。私達皆、同じ気持ちよ」

アイズの言葉か通じないならばと、アシュトーリアさんがそう言った。

「だけど、現状ルレイアの為に…ルレイアの立場を悪くしない為に出来るのは、事態を静観することだけなのよ。分かって頂戴」

「…」

アシュトーリアさんに言われて、さすがのアリューシャも黙り込んだ。

アシュトーリアさんの言葉は、アリューシャだけではなく。

シュノと、それから俺に向かって言っているのだと分かった。

俺だって…今すぐにでもルレイアを助けに行きたくて、うずうずしているから。

でも…アシュトーリアさんにここまで言われちゃ…救出を強行する訳にはいかなかった。

…ごめんな、ルレイア。

俺、お前に何もしてやれなくて…。

何もしないことが、一番ルレイアの助けになるなんて…。

こんなに悔しいことがあるか?
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