The previous night of the world revolution~P.D.~
蓋を開けて、何が出てくるかと思いきや。

とんでもない戯言。

あれ?この人、起きてるように見えたんですけど。

もしかして寝てるんですかね?寝言は寝ながら言うものですからね。

目を開けながら寝るなんて、面白い特技をお持ちですね。

それとも、俺の聞き間違いか?

ルルシーと引き離されたショックで、脳みそがおかしくなったか?

冗談のつもりか?笑えないが。

しかし、ブロテの顔は真剣そのもの。

…。

「…どうやら、聞き間違いのようです。もう一度言ってもらえますか?」

「帝国自警団に入って欲しい。マフィアなんかやめて」

成程、どうやら聞き間違いではなさそうだ。

ってことは、おかしいのはブロテの頭であって、俺じゃないな。

仕方ない。連日この暑さだもんな。

こう毎日暑くちゃ、そりゃ頭がイカレることもありますよ。

分かる分かる。

でもだからって、そういう冗談は洒落にならないから、やめてもらいたいものだ。

…ふぅ。

「どうやらブロテさん、あなたは気が違えたようですね。働き過ぎじゃないんですか?」

あまりにも部下に無能が多過ぎて、お疲れなんだろう。

きっとそう。

「良い避暑地を紹介しますよ。少し休んで、心と身体を休めたらどうですか?」

「私は正気だよ。冗談で言ってる訳じゃない」

だってさ。

何言ってんだろうな。

今この場にアリューシャがいたら、多分大爆笑してるんじゃないか。

「気が狂ったとしか思えないんですけど」

俺の記憶が正しければ。

この女、ルティス帝国に帰国して、帝国自警団の団長に返り咲いてからというもの。

ずっと俺を目の仇にして、全ての諸悪の根源的なこと言ってなかったか?

あのときも、こいつは何を言ってんだろうと思ってたが。

今回も、こいつは何を言ってるんだ?

言うに事欠いて、『青薔薇連合会』をやめろとは。

それだけならまだしも、帝国自警団に鞍替えしろとは。

そんな下らないことを言う為に、わざわざ俺を『青薔薇連合会』本部から拐ったのか?

…暇なんですか?

話し相手が欲しかったのかもしれない。可哀想。

やっぱり悩みでもあるんでしょうかね。

じゃあ、相談くらいは乗ってあげますよ。今の俺は紳士ですから。

「理由はちゃんとあるよ。聞いて」

「えぇ、どうぞ」

気分は、老人ホームでボケ老人のボケたお喋りに付き合ってあげる介護士のそれ。

ボケてるなら仕方ないですからね。ちゃんと聞いてあげますよ。

しかし、その歳でボケるとは、気の毒な。

若年性認知症って奴ですかね?知らんけど。

「君が『青薔薇連合会』の幹部で、実質的に『青薔薇連合会』を支配していると聞いて…。そして、帝国騎士団やベルガモット王家の資産を、思うままにしていると聞いてから、私達はずっと君のことを追ってきた」

「…」

…えぇと。

…早速ボケてるんでしょうかね?
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