The previous night of the world revolution~P.D.~
前会ったときも思ったけど…。

そういう情報は、何処から仕入れてるんですかね?

「それどころか、シェルドニア王国や箱庭帝国でも幅を利かせて、アシミム女王やルアリス委員長を手駒にしている、とも」

「…」

…だから、その情報は何処情報なんですか?

そんな噂を流した奴、ちょっと連れてきてくれ。

事実と反してますから。

「それを聞いたとき、なんて酷いことをするんだろうと思ったよ。私がルティス帝国を留守にしている間に、この国はルレイア・ティシェリーに乗っ取られてしまったんだって」

俺、いつの間に独裁国家の王様になったんですか?

大出世じゃないですか。

「だから私は、帝国自警団のリーダーとして、君を止めようと思ったんだ」

「はぁ…そうですか」

それはまた…大変ですね。

成功しそうですか?

「そして、君を止める為に…調査の一環として、『青薔薇連合会』に立ち入り捜査を行って…」

「…何も出てこなかってんですよね?」

「…そうだね。全て巧妙に隠されていて…私達にとってめぼしいものは、何も見つけられなかったよ。…さすがだね」

お褒めに預かり光栄です。

さすがにそこまで馬鹿じゃないですからね。俺達も。

抜き打ちチェックすれば埃が出てくると思ったら、それは大きな間違いというもの。

…で?

「あの立ち入り捜査の後、しばらく大人しかったようですけど?」

「…そう見えるかもね。そう言う君は、あの後も忙しかったようだね」

「あ?」

「聞いたよ。『frontier』というアーティストを作らせて、彼らを利用してイベントを開催して荒稼ぎしたり」

…。

「シェルドニア王国の大使を呼びつけて、多額の献金を要求したり」

…。

「箱庭帝国に押し掛けて、ルアリス委員長を脅しつけたり」

…。

「最近では、奇妙な喫茶店を出店して、そこでも小遣い稼ぎをしてるらしいね」

…。

…はい?

何だか、物凄い濡れ衣を着せられてるような気がするんですけど。

あれ?これって訂正した方が良いんですかね?

いや、でも、あまりに誤解が激し過ぎて、いちいち訂正してたら日が暮れそう。

なんか面倒臭いので、もうこのまま誤解したままで良いですよ。

「こんな短期間で…さすがだね。各方面で権威を振りかざして…。ますます、君の危険性を再確認したよ」

「…あ、そうですか…」

褒められてるんですよね、これ。

いやぁ、帝国自警団の団長にべた褒めされるなんて、光栄ですね。

素直に喜んで良いのかどうかは疑問だ。

「君を止める為に、私は何でもするつもりだった」

「ふーん…。それで何がどうなって、俺を『保護』するようなことになったんですか?」

ブロテの目的は、全ての諸悪の根源(笑)である俺を逮捕して、裁き、牢屋に閉じ込めることだろう?

まかり間違っても、「保護」することが目的ではなかったはずだ。

それなのに、何故…。

「それは…」

ブロテは俯いて、視線を逸らした。

…あ…?

何だ、ここまで引っ張っておいてだんまりか?

「…調べたんだ」

「調べた?」

「そう。…君の過去を」

…あぁ。

成程、そういうことだった。

ブロテのこの態度の理由が、ようやく分かった。
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