The previous night of the world revolution~P.D.~
…今ここに、ルルシーがいたら。

きっとブロテをぶん殴ってでも、この話題を止めさせただろうな。

「…帝国自警団の権限を用いて、データベースを閲覧しましたか」

「うん。最初は…君の弱点を探る為だった」

あぁ、分かった。

『青薔薇連合会』への立ち入り調査の後、しばらく帝国自警団が大人しかったのは、そのせいか。

俺の過去を探るのに忙しかったらしい。

そりゃ大仕事だったでしょうね。

「だけど…。あがってきた報告書を読んで、これはそんな…簡単な問題じゃないんだって分かったよ」

「…そりゃそうでしょう」

一人の人間の物語は、いつだって誰だって波乱万丈ですよ。

何事もない人生なんて、滅多にあるものではない。 

俺だけに限らない。『青薔薇連合会』に所属する構成員は、大抵がそうだ。

皆波乱万丈な人生を送ってますよ。

大変な思いをしたのは、俺だけじゃない。

「私は…君のことを誤解していた。生まれながらの悪人なんだと思いこんで…。でも、そうじゃなかった」

「…」

「考えてみれば、簡単なことだよ。生まれつきの悪人なんていないんだね。育った環境、その人を取り巻く状況が、人を悪人にも善人にもするんだ」

俺にとっては、言われるまでもなく当たり前のことなんですけど。

何十年と生きてて、気づいたのは今か?

遅っ…。どんなぬくぬく人生を送ってきたんだ。

自警団の団長の癖に、長い間優雅に海外留学なんてしてるから、そんな甘ちゃんな発想になるんだ。
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