The previous night of the world revolution~P.D.~
全く。

今になって、また再びあの事件のことを蒸し返されるとは。

何処まで行っても、過去の呪縛というものは、俺を自由にしてくれないものだ。

一生、永遠について回る。

死ぬまでずっと…いや、墓の中にさえついてくる。

忌々しい記憶というのは、そういうものだ。

上手く折り合いをつければ良いのだろう。

しかし。

そんな…憐れみを込めた目で見つめられたら、非常に不愉快極まりなかった。

俺の気持ちなど欠片も理解出来ない癖に、分かったような振りをされるのは御免だ。

ましてや、同情されるのはもっと最悪。

同情するくらいなら、俺の中からあの忌まわしい記憶を消してくれ。

それが出来ないなら、不用意に近づいて欲しくなかった。

「あの事件のせいで、君は無実の罪を着せられて…帝国騎士団を、そして実家のウィスタリア家からも追い出されて…」

「…」

「路頭に迷っていたところを、『青薔薇連合会』に拾われた。…そうなんだよね?」

…大まかには、間違ってないですね。

その間に、魔のニ年間がありましたが。

正直あの頃のことは、思い出したくない記憶と言うよりは…。

思い出したくても思い出せない記憶、と言う方が正しい。

自分が入院していたことは覚えているのだが、具体的にどんな毎日を送っていたのかは、ぼんやりとしか思い出せない。

ルルシーに尋ねても、「とにかく酷かった」と言うばかりで、それ以上のことは決して教えてくれないし。

思い出しても愉快な記憶じゃないだろうし、積極的に思い出したくはないから、このままで良いんだろうけど。

「そして、『青薔薇連合会』に入った後は…幹部として数々の偉業を成し遂げて、今では実質『青薔薇連合会』の首領は君だそうだね」

…うん。

…なんか、その辺の認識がさっきから、ちょっと怪しくないですか?
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