The previous night of the world revolution~P.D.~
…もし、説得が成功すれば。

ルレイアは表の世界に戻ってくる。

帝国騎士団には戻らないだろう。それに…ウィスタリア家に戻ってくることもないだろう。

私としては、戻ってきて欲しいのは山々なのだが。

闇の世界から、『青薔薇連合会』から足を洗わせる。

これ以上の犯罪行為をやめ、真っ当な人間に戻る…。

私はまた以前のように、ルレイア…いや、ルシファーと姉弟として過ごすことが出来る。

そして、私に償いをさせてもらえる。

あのとき…あの子が助けを求めていたとき…何もしてやれなかった分を。

今でもずっと後悔していることを、もう一度やり直せる。

今度こそ、あの子が二度と辛い思いをしないで済むように…。

…なんと魅力的な誘いだろう。

そうなったら、本当にあの子が戻ってきてくれたら、どんなに良いだろう。

また家族に戻ることが出来たら…どんなにか幸せだろう。

儚い望みだ。

しかしブロテは、その儚い望みを現実のものにしようとしている。

その為に、私とルファディオに、ルレイアを説得するように頼んでいる。

諦めていないのだ。ブロテは。

ルレイアがまだ、表の世界に戻ってくることが出来るという…希望を持っている。

叶うことなら…。

…私も、同じ希望を持っていたかった。

「…それは出来ない」

私は、静かにブロテの誘いを断った。
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