The previous night of the world revolution~P.D.~
「ルルシーさんこそ、心配してるんですか?ルレイア師匠のこと」

「…当たり前だろ」

「あの人なら、心配しなくても大丈夫だと思いますけどね」

そうかもしれないな。

帝国自警団の連中が何をしようと、どうにかなるルレイアじゃない…。

それは俺だって分かってる。

でも、俺は同時に。

ルレイアは心の奥底で、触れることすらままならない…弱い側面も抱えている。

そのことも知ってるからな。

だから心配なのだ。

自警団に囚われたルレイアが、今どのような扱いを受けているのか…。

結局、最初の一週間では返してもらえなくて。

期限は延長され、二週間、三週間と経過した。

その間俺は、真綿で首を絞められているような感覚を味わい続けていた。

胃に穴が開く。

「心配なのは分かるよ、ルルシー」

アイズが、アリューシャの口元を拭いてやりながら言った。

口拭くくらい、自分でやらせろよ。

「だけど、私達がどれほど気を揉んで心配してても、状況が何か良くなる訳じゃないからね」

「…それは…」

「シュノも君みたいに、ルレイアが心配で気もそぞろだったから…アシュトーリアさんが気を利かせて、今日はシュノを連れてスイーツバイキングに行ったそうだよ」

そうなのか。

シュノの姿が見えないと思ったら、今日はアシュトーリアさんと女子会か…。

アシュトーリアさんなら、上手くシュノを宥め、励ましてくれていることだろう。

…腹を据えかねて、うじうじと思い悩んでいるのは俺だけか。

情けない限りだが…。だからといって、ルーチェスのように吹っ切ることは、俺には出来ない。

ルレイアがいないんだぞ?

三週間も会ってない。連絡もない。

今どうしているのか、消息さえ分からない。

この三週間、俺は幾度となく、帝国自警団に「ルレイアを解放しろ」と要求した。

しかし、自警団は相手にしなかった。

「守秘義務があるから何も答えられない」の一点張りだ。

ムカついたが、怒りを爆発させたところでルレイアが帰ってくる訳ではない。

仕方なく引き下がって、こうして自分の執務室でイライラしているしかない。

こんなときに、何も出来ることがない自分に腹が立つ。
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