The previous night of the world revolution~P.D.~
その後、俺はアシュトーリアさんに挨拶に行った。

「無事で良かったわ。しばらくはゆっくりしてね」との、有り難いお言葉を頂いた。

俺が不在の間、仕事の方は華弦が上手いことやってくれていた。

華弦で代理出来ないことは、ルーチェスやルリシヤが替わってくれていたようだ。

有り難いばかりである。

正直、この一ヶ月の間ずーっとのんびりしていたので、今更ゆっくりしたい…とは思わないのだが。

まぁ、折角のんびりして良いと言われたので…有り難くのんびりさせてもらおう。

場所を改めて、俺達はルルシーの執務室にやって来た。

「はぁ〜…。安心と信頼の、ルルシーの執務室だぁ…」

嬉しくなりますよね。

ここに来るだけで、実家のような安心感を覚える。

まぁ俺は実家で安心感を覚えたことはないので、あくまで例えだが。

「全くだぜ。ルレ公も帰ってきたし、昼寝のし甲斐があるぜ!」

「良かったねぇ、アリューシャ亅

アリューシャは満足そうに、くまちゃんの毛布を引っ被ってソファに寝そべった。

アリューシャの昼寝は、平和を象徴してますね。

世界は鳩じゃなくて、アリューシャの昼寝を正式に平和の象徴に認定すべきだと思います。

「無事で良かった、ルレイア」

さっきまで大号泣だったシュノさんも、今ではにっこにこ。

やっぱり、シュノさんは笑ってる方が可愛いですね。

「ルレイア師匠がいない間、僭越ながら僕と華弦さんが『ブラック・カフェ』の期間限定新メニューを考えさせて頂きました」

と、ルーチェス。

ほう?

ルーチェスの決めたことなら、心配は要らないだろうが…。

「どんな新メニューですか?」

「ブラッククレープです。生地もクリームもフルーツも、勿論全て真っ黒ですよ」

「それは素晴らしい」

爆売れ間違いなしですね。

更に、ルリシヤは。

「ルレイア先輩が戻ってきてくれて何よりだ。如何せん、一人でルルシー先輩の部屋に忍び込んでも喜びは半減だからな」

そう言いながら、ルルシーの執務室の机の隅に、ドライバーで盗聴器を仕掛けていた。

「アリューシャ先輩じゃないが、盗聴器の仕掛け甲斐があるというものだ」

「…家主の前で、お前は何を堂々と盗聴器を仕掛けてるんだ?」

いやん、ルルシー。それは言わないお約束。

でも、こんなやり取りが懐かしかった。

何せ一ヶ月ぶりですもんね。

長期休暇をもらったと思えば聞こえは良いが、仲間達に会えなかったのだから、ちっとも楽しくなかった。

「どうする?ルレイア。監禁明けだし、しばらくゆっくりする?」

アイズがそう尋ねた。

アシュトーリアさんもそう言ってくれたけど…。

「いえ。一ヶ月の間、ハーレム会員を『お預け』状態にしちゃいましたからね。まずは奴らに餌を与えないと」

「そっか。減ってないと良いね、ハーレム会員」

「ふっ、まさか。この俺が躾けてるんですよ?」

たかが一ヶ月留守にしたところで、洗脳が解けるはずがない。

そんな生易しい「調教」はしていない。

「むしろ、ちょっと遠距離したことで、良いスパイスになりましたよ。さぁて、早速連絡を…」

「…おい、ちょっと待てお前」

スマホを取り出そうとした俺を、ルルシーが止めた。

ん?
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