The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…ルレイアが帝国自警団から解放された、その翌日。

俺は改めて、ルリシヤと共に視察任務に出ていた。

「絶好調だな、ルルシー先輩」

まだ何もやってないのに、ルリシヤは俺を見てそう言った。

「何処がそう見えるんだよ?」

まだ『霧塵会』本部に辿り着いてさえいないぞ。

しかし。

「いや、昨日までのルルシー先輩と比べると、見違えるようだぞ」

「そうか…?」

「あぁ。雲の上でも歩いてるんじゃないかと思うほどだ」

…そこまでか。

そんな…ポテチに浮かれるアリューシャじゃあるまいに…。

でも、我ながら浮かれている自覚はある。

ここ数週間、ずっと気分悪かったから、余計に。

無理もないだろう。

何と言っても、ルレイアが戻ってきたのだから。

これ以上大切なことはない。

ようやく胸のつかえが取れたと言うか、肩の荷が下りたと言うか…。

とにかくホッとした。

昨日の夜、案の定俺の家にまで忍び込んできて。

「久々のルルシーのご飯〜♪」とか言いながら、飯をタカられたけども。

それさえも愛おしく思えるほどだった。

ルレイアが帰ってきたんだ。飯作ってやるくらいなんだ。

無事に戻ってきてくれて良かった。

雲の上を歩いていると言われても、否定出来ない。

「ルルシー先輩は、ルレイア先輩がいないとダメダメだな」

「…全くだ」

自分でもそう思うよ。

情けないかもしれないが。

ルレイア曰く、ブロテの妙な数々の誤解を解いてきたとか。

更に、自分のしていた恥ずかしい誤解が解けて、土下座せんばかりに謝られたとか。

結構なことだ。

これでしばらくの間は、ブロテも大人しいだろう。

何なら、もう一生『青薔薇連合会』に関わらないでくれ。

「浮かれるのは良いが、ルルシー先輩。視察任務は真面目にやってくれよ」

「分かってるよ。…『霧塵会』だったな」

「あぁ、そうだ」

『青薔薇連合会』には、数々の系列組織が存在している。

あまりにたくさんあるから、俺も名前を全て覚えている訳じゃないが…。

『霧塵会』と言えば、『青薔薇連合会』サナリ派に所属する組織で。

『風塵会』という別組織が母体になっていて、『霧塵会』は『風塵会』の子分みたいなものだ。

そして、今回『霧塵会』について問題となっているのが…。

「怪しい兵器の製造に関わっている恐れがある…だったか」

「あぁ、そうだ」

『青薔薇連合会』が、系列組織に定期的に派遣している偵察員から、そのような連絡を受けた。

俺達が今日こうして視察に赴いているのは、それが原因だ。
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