The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…アイズレンシアから、「ルルシーとルリシヤが捕まったらしい」という連絡が来たとき。

俺はアシュトーリアさんやルルシーに言われたように、自宅でゆっくりまったりと過ごしていた。

この一ヶ月、俺が留守していた間に、注文していたゴスロリスーツが何着か届いてから。

届いたばかりのその服を、姿見の前で取っ替え引っ替えしていた。

うん、さすが俺。何を着ても似合う。

こっちの、襟元にひらひらのレースがついた黒ジャケットなんて、最高。

明日はこれ着ようかな、と思っていると。

室内に、『frontier』の着歌が流れ出した。

「ん…?」

スーツをハンガーに戻してから、俺はテーブルの上に放り出していたスマートフォンを手に取った。

そういえば、これは余談だが。 

帝国自警団に囚われていたとき、俺はこのスマートフォンをブロテに没収されていた。

スマートフォンには当然ロックを掛けていたが、恐らく没収されていた間にスマホの中身を探られているだろう、と。

そう思っていた。

個人情報の塊ですからね。スマートフォンというものは。

没収されたが最後、隅から隅まで中身を見られるものと覚悟していた。

しかし。

『青薔薇連合会』に帰ってきて、俺のスマホを確認してみたところ。

ロックが解除された形跡もないし、通話記録やメールのやり取りを、第三者に閲覧された形跡は全くなかった。

これには驚いた。

もしかして、ロックの解除方法が分からなかった?

そんなはずはない。奴らは、腐っても帝国自警団なのだから。

ブロテの奴は馬鹿正直に、スマホを預かるだけで、中身を探ったりはしなかったのだ。

全く甘い女だよ。

この甘さ、正しさに忠実な心。

何処となく、ルーシッドに似た何かを感じる。

さすが帝国自警団の団長様。不実なことはしません、ってか?

結構なことだ。

いずれにしても、スマホを探られなくて良かった。

見られたところで、別に疚しいものなんて何も見つけられないだろうが。

それでも、俺とルルシーのイチャイチャラブラブメールを、第三者に見られるのは不快だったから。

それを見られずに済んだのは、不幸中の幸いだったと思う。




…さて、それはさておき。

「アイズから…?」

スマホの画面に映し出された名前を、俺は小さく呟いた。

…何だろう。アイズには申し訳ないが、何だか嫌な予感がする。

そして、俺の嫌な予感というのは…今のところ、百発百中でビンゴである。
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