The previous night of the world revolution~P.D.~
何か良くないことでも起きたか?

覚悟を決めて、俺は通話ボタンを押した。

「もしもし?アイズですか?」

『あぁ、ルレイア…。ごめんね、休んでるところに』

「大丈夫ですよ」

一人ファッションショーしてただけですから。

「それより…どうかしました?」

俺のこの嫌な予感が、空振りだったら嬉しいのだが?

一ヶ月囚われていた間に勘が鈍ってしまっただけ、とか…。

…しかし。

世の中は、そんなに都合良く出来てはいない。

『うん…。実は良くないことが起きたんだ』

成程。

アイズが「良くないこと」ときっぱり明言するのだから、きっとよっぽど良くないことなんだろう。

楽しみじゃないか。俺をわくわくさせてくれる何かが起きたんだろうな?

「聞きましょうか」

『落ち着いて聞いてね。実は…ルルシーとルリシヤが、『霧塵会』に囚われた』

…ほう。

それは実に…わくわくする出来事だ。

俺のルルシーによくも…手を出せたものだな。

処刑決定だな。如何なる理由があろうと関係ない。

俺の鎌の錆にしてくれる。

「ってことは…『霧塵会』が怪しい兵器を所持しているという噂は、本当だったんですね」

『恐らくね。今日二人は、『霧塵会』の視察に行った。そこで囚われたってことは…』

「視察の途中で、奴らが見られたくない何かを見つけてしまったんでしょうね」

『そうだね。私もそう思うよ』

ルルシーはともかく、ルリシヤの観察眼の鋭さはピカイチだもんなぁ。

特に、ルリシヤにはお得意の、仮面の勘ってものもあるし。

『青薔薇連合会』の下っ端組織がいくら浅知恵を巡らせたって、ルリシヤの仮面の勘の前に、隠し事など不可能。

案の定秘密を暴かれてしまい、苦し紛れに二人を人質に取ることにしたのだろう。

そして、二人の命を俺達『青薔薇連合会』への切り札にしようとしている。

…実に馬鹿な奴らだ。

あまりの浅慮さに、可哀想になってくる。
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