The previous night of the world revolution~P.D.~
「まさか…脱出は不可能なのか?」

あのルリシヤの脱獄スキルを持ってしても、逃げられないほど強固な監視があると?

この手錠、何か特殊な機能でもついてるのか?

ルリシヤでも外せないような、そんな機能が…。

普通の手錠にしか見えないのだが…。

小型爆弾が仕込まれていても、秒速で手錠を外していたのに…。

そんなルリシヤでも外せない手錠って、一体どんな不思議な機能が…?

「この手錠って、そんなに外すのが難しいのか…?」

「手錠?いや、これはただの玩具だぞ」

そう言うルリシヤの手首から、とっくに手錠が外されていた。

…はやっ…。

いつの間に外したんだよ。全然音しなかったぞ。

「…爆弾もついてない。手首の関節をコリッと外したら、すぐ外れた」

「…良い子は真似しちゃ駄目だぞ…」

ルリシヤだからこんな芸当が出来るんだ。一般人は決して真似をしてはいけない。

「ルルシー先輩の手錠も外してやろう」

「…悪いな…」

「あっ、それともルルシー先輩は、手錠を嵌めたままの方が良いか?ルルシー先輩はドM性癖が、」

「良いからさっさと外せ」

何処の誰がドMだって?

手錠を外してもらうんじゃなかったら、後頭部引っ叩いてやるところだった。

ルリシヤの助けもあって、手錠はあっという間に外された。

…ふぅ…。

これで、両手が自由になった。

武器を所持していないのが心細いが、とりあえず両手が自由になれば、どうとでもなる。

だからって、俺には鉄格子を外すような真似は出来ないが…。

「それで、ルリシヤ…。今回は脱獄しないって、どういう意味だ?」

「言葉の通りだ。今回はこちらから動かない。大人しくしていよう」

…動かない、って…。

「脱獄…出来ないのか?」

この地下牢の鍵って、そんなに強固なのか?

…と、思ったが。

「いや?脱獄は楽勝だ。この通り、鍵も外した」

いつの間にか。

ルリシヤは牢屋の南京錠を外し、ぷらぷらと指で摘んでいた。

…全然見えなかったんだけど、お前秒速で外した?

本ッ当…器用な奴…。

お前をどうやって閉じ込めておけば良いのか、俺には分からねぇよ。
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