The previous night of the world revolution~P.D.~
「そこまでやってるなら、何で逃げない?」

手錠は外せる、南京錠も外せるなら。

あとは、外に駆け出すだけだろう。

あのルリシヤが、監視に見つかるのが怖いから逃げたくない、なんて言い出すはずがないし…。

するとルリシヤは、あっけらかんとして言った。

「今回は自分から捕まったんだぞ?逃げたら、わざわざ捕まった意味がないだろう?」

「それは…まぁ、そうだけど…」

でも、何の為に捕まったんだ?俺達…。

銃床でぶん殴られたくらいなんだから、それなりの得はあるんだろうな?

「自分から逃げる必要はない。俺達はここで、ダラダラお喋りをしているだけで良い」

「…良いのか?本当に…」

「あぁ、良い」

…。

…ルリシヤには、ルリシヤなりの考えがあるんだろうが…。

「でも、いつまでもここにいる訳にはいかないだろ?」

「何だ。ルルシー先輩は帰りたいのか?ルレイア先輩が恋しいのか」

ぶっ飛ばすぞ。

そうじゃねぇよ。

「心配するな、ルルシー先輩。愛しいルレイア先輩には、じきに会える」

誰が愛しいって?

「そうじゃなくて、いつかは脱出しないといけないだろ?いつまでもここにいる訳には…」

「あぁ、それなら大丈夫だ。囚われの姫はいつだって、王子様が助けに来てくれるからな」

…王子様?

王子様って…それは誰のことを、

と、言いかけたそのとき。

階上から、ドカン!!と何かが炸裂したような音がした。
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