The previous night of the world revolution~P.D.~
俺はその音に、思わずびくりと身体を震わせた。

「な…何だ…?」

真っ先に思いついたのは、『霧塵会』が所有しているという噂の新兵器だ。

もしかして、それを使ったのか?

俺達が食堂の冷蔵庫で見つけたのは、兵器の実物ではなかった。

俺達が見たのは恐らく、その兵器に関する資料のみだった。

まさか、本当にここに新兵器が隠してあるのか…?

と、心配したのだが。

ルリシヤは相変わらず、全く狼狽えずにあっけらかんとしていた。

「もう来たのか…。早いな」

それどころか、こんな意味深なことを言う始末。

「もう来たって…何が…?」

「決まってるだろう?ルルシー先輩。もしここに囚われたのがルレイア先輩だったら、ルルシー先輩はどうする?」

「…え…」

「つまりは、そういうことだ」

…どういうことだよ?

何一人で納得してるんだ。

俺にも分かるように説明しろよ、と言おうとして。

しかし、そんな説明は必要なかった。

何故なら。

「…ルルシー先輩。伏せた方が良いぞ」

「は?」

「王子様のご到着だ」

伏せるって、何で…と思ったのも束の間。

何処か聞き覚えのある音がして、俺は咄嗟にその場に伏せた。

その瞬間、地下牢の壁が吹き飛んだ。

比喩じゃないぞ。マジで吹き飛んだ。

一瞬、俺は例の新兵器が使用されたのかと思った。

しかし、そうではなかった。

何故なら、壁が破壊された直後…地下の中に、甲高い聞き慣れた声が響いたからである。

「ルルシ〜っ!!助けに来ましたよーっ!!」

…。

土埃の中から、ゴツい死神の鎌を振り回す者が現れた。

…助けてもらっておいて、文句言うのは我儘かもしれないけどさ。

俺、こんな王子様は嫌だよ。
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