The previous night of the world revolution~P.D.~
「ルレイア…。お前、何でこんなところに…」

「ルルシー姫とルリシヤ姫が囚われたと聞いて、助けに来ました!」

ドヤァ、とドヤ顔を披露するルレイア。

あ、そう…。

そりゃどうも…ありがとうございますね。

ルリシヤがあっさりと捕虜になることを選んだのは、これが理由だったのだろうと思った。

例え俺達が捕まっても、すぐにルレイア達が助けに来るから。

…そうだよな。

立場が逆だったら…捕まったのがルレイアだったなら。

俺は一秒だってじっとしていない。すぐに助けに行くはずだ。

ルレイア達にとっても同じだったのだろう。

やれやれ…。全くこいつらと来たら。

床から立ち上がろうとした俺に、ルリシヤが言った。

「ルルシー先輩、まだ早い」

「は?何が?」

「第二波が来るぞ」

早い…?第二波…?

ルリシヤの奴、何をいっ、

問い返そうとしたそのとき。

ルレイアがぶっ壊した壁の反対側から、凄まじい破壊音が響き渡った。

「うわぁぁ!?」

あまりの轟音に、俺はその場に手をついた。

な、何だ?

もしかして、今度こそ『霧塵会』の新兵器か?

「おっ。彼が来ましたね?」

この揺れと轟音の中でも、ルレイアは平然と立っていた。

むしろ、わくわくした表情。

「彼」…?って、誰が、

「こんにちはー、お姫様方。助けに来ましたよー」

土煙の中から、悠然と現れたのは。

死神の鎌の代わりに、ゴツい両剣を手にしたルレイアの弟子。

ルーチェス・アンブローシアその人であった。

「お前…」

突入の仕方が、完全に師弟でお揃い。

下らないことを伝授しやがって…。肝が冷えるからやめろ。

それなのに、当人二人は涼しい顔。

「あれっ。ルレイア師匠、もう来てたんですか?僕、もしかして一足遅かった感じです?」

「ふっふっふ。ルルシー姫とルリシヤ姫は、俺が先に助けさせてもらいましたよ。まだまだですね、ルーチェス」

「ぐぬぬ…。さすがはルレイア師匠、尊敬します!」

せんで良い。

「でしょう?でしょう?俺凄いでしょう?」

威張るな。

この…傍迷惑師弟コンビは…。

「ふぅ。助かったぞ、ルレイア先輩。ルーチェス後輩」

ルリシヤはひょいっと起き上がって、二人にそう言った。

もう伏せてなくて良いらしい。

ルレイアとルーチェスも大概だが、お前の危機察知能力も大概だよな。

俺の周り、人間やめた奴が多過ぎる。

「いえいえ、お気になさらず」

「それより、どうしてわざと捕まったんですか?」

と、尋ねるルーチェス。

俺達がわざと捕まったことは、既にお見通しか。

「実は、『霧塵会』が隠している情報を掴んでな」

俺の代わりにルリシヤが答えてくれた。

「それを確実に回収する為には、ここを襲撃してもらった方が手っ取り早いと思ったんだ」

そうだったのか。

俺も、ルリシヤが捕まった動機は今、初めて知ったよ。

「ふむ…。例の新兵器とやらの情報ですか?」

「さぁ、詳細はまだ不明だ。だがその可能性は高いな」

「成程。まぁ、『霧塵会』の連中をぶちのめして、その資料とやらを確かめてみるとしましょう」

そうだな。ルレイアの言う通りだ。

「それでは、まずは四人でここをだっしゅ、」

「…ルレイア?」

ルレイアは、言葉の途中で俺をじっと見つめたまま、固まってしまった。
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