The previous night of the world revolution~P.D.~
「兵器の存在が明らかになった今、何としても現物を押さえたい。逃げられる前に、迅速に動きたいんだ」

というのが、アイズの意見である。

俺も同感だな。

動くなら早い方が良いだろう。

『霧塵会』襲撃の知らせが『M.T.S社』にバレたら、奴らはすぐ夜逃げする。

「分かったよ…。行ってくる」

奇襲の動機に納得したら、断る理由はないルルシーである。

多分俺も一緒だからだと思われる。

奇襲メンバーがもし、ルルシーを含まず、俺とルーチェスとルリシヤの三人だったら。

恐らくルルシーは、自分も奇襲メンバーに加えろと強硬に訴えていただろう。

その辺をよく分かっているから、アイズは奇襲メンバーに俺とルルシーを入れたのだ。

すると。

「私は?私も行くわ」

「アリューシャの出番は何処だよ?」

「今回は俺が選ばれなかったか…残念だ」

奇襲メンバーに選ばれなかった三名…シュノさんとアリューシャとルリシヤが声をあげた。

居残り組は、そうなるでしょうね。

俺ももし置いていかれてたら、同じように不満を口にしていただろう。

裏切り者の組織に対する粛清、なんて…。

そんな面白そうな任務に同行させてもらえないなんて、マフィアやってる意味がないと言っても過言ではない。

絶対行きたい。超楽しそう。

しかもルルシーと一緒ですよ?

これはもうデートですよ、デート。

粛清デート。あら、斬新。

いかなる状況でも楽しめる、心の余裕というものを持って生きていきたいですね。

「今回は、シュノとアリューシャとルリシヤ、それから私はお休み。ルルシーとルレイアとルーチェスに任せよう」

居残り組を宥めるように、アイズがそう言った。

…勿論分かっていると思うが。

アイズは何も、自分が危険な前線に出たくないが為に、俺達三人に託した訳ではない。

戦場を恐れるマフィアの幹部はいない。

それに、もし怖いなら、先日の『霧塵会』襲撃メンバーに加わるはずがない。

今回の人選も、アイズなりの考えあってのことだ。

「とにかく今回は隠密に、ギリギリまで襲撃を『M.T.S社』にバレないように動きたい」

と、アイズは理由を説明した。

な?ちゃんと考えがあるって言っただろう?
< 285 / 634 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop