The previous night of the world revolution~P.D.~
「うーん。いませんね」

愛用の死神の鎌で、敵をバッサバサ刈り倒していくも。

幹部クラスや、ましてやリーダーがその辺を彷徨いているはずもなく。

なかなか見つからない。

全く面倒臭いことだ。自分から出てきてくれれば良いのに。

すると。

「おい、おいルレイア」

両手に拳銃を持ったルルシーが、俺の後ろからついてきた。

今日も息の合った連携プレーのお陰で、今のところ俺達は、お互い掠り傷の一つも負っていない。

…どころか。

「はい、何ですか?」

「ルーチェスを手助けに行かなくて大丈夫か?」

ここにいないもう一人、ルーチェスの心配をする余裕まである。

現在、ルーチェスとは別行動中である。

俺とルルシーで敵の陽動を、その間にルーチェスには、例の兵器とやらを探してもらっている。

俺とルルシーがいたら、基本無敵ですからね。

恐れるべきものは何もない。

で…ルーチェスを助けに行くか、って話だったな。

「大丈夫だと思いますよ」

ルーチェスなら…いや。

今のルーチェスなら。

恐らく、俺とルルシーより頼もしい存在だろう。

「いや、でも…今日あいつ、様子が変だったろう?」

「えぇ。ちょっと調子が悪そうでしたね」

「だったら、やっぱり助けに行った方が…」

「それは大丈夫ですよ」

今日のルーチェスは、俺達が助けない方が、むしろ強いはずだ。

下手に助けに行ったら、逆に弱体化しそうだ。

好きにさせておいた方が良い。

ルーチェスのこと。きっと上手くやってくれるはずだ。

何せ彼は、俺の自慢の一番弟子ですから。

「…本当に大丈夫なのか…?」

しかし。

心配性のルルシーは、不安そうにそう言った。

本当に心配性なんですから。

「大丈夫。彼を信じてあげましょうよ」

「いや、それは…もとから信じてるけど」

「なら、何も心配することはありませんよ」

「…分かったよ」

と、ルルシーは拳銃を握り直した。

「じゃあ、さっさとここを終わらせて…ルーチェスの援護に向かおう」

「分かりました」

恐らく10分程度あれば、俺とルルシーも、ルーチェスも、目的を達成出来るだろう。

それが終わったら、再び合流するとしよう。

じゃ、ルーチェスに遅れないよう、さっさと済ませなくてはな。

「地下に向かいましょう、ルルシー」

「…地下?上じゃなくて?」

大将が一番上にいるのは、ゲームやアニメのボスだけですよ。

現実のボスは、上よりもっと低いところにいる。

「俺の死神の鎌の勘です」

「…それ、本当に頼りになるのか?」

酷い、ルルシー。

俺の鎌の勘だって、ちゃんと役に立つんだってこと…ルルシーに証明して見せなくては。
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