The previous night of the world revolution~P.D.~
案の定。

地下に向かうと、俺達の姿を見た『M.T.S社』の連中が、驚愕に目を見開いていた。

「お、お前ら…!何でこんなところに…!」

「急げ!リーダーを逃がすんだ!」

「絶対ここを通すな!武器庫から『アレ』を持って…」

おいおい、そんな情報、俺達に聞かせて大丈夫なのか?

あまりにテンパって、自分が何口走ってるのか分かってないのかも。

気の毒なことだ。

つまり、この先にリーダーが隠れているってことだろう?

そんなことだろうと思った。

地下に秘密の脱出口を作るのは、非合法組織の十八番みたいなものでして。

だからピンチになると、上じゃなくて下に降りるんですよ。

それに…。

今何か、気になることを言いましたね。

「武器庫から『アレ』を持って…ですか」

「あぁ…。新兵器とやらがあるんだろうな、ここに」

ルルシーも気づいたようだ。

一体どんな兵器が待っているのやら。

是非とも見せて欲しいですね。

何なら、ちょっと戦ってみたい。

その兵器って、俺の死神の鎌とどっちが強いんですか?

しかし、真面目なルルシーには、そんな遊び心はなく。

「兵器を使われる前に、さっさと突破するぞ。リーダーを逃がす訳にはいかない」

「…分かりましたよ」

もうちょっと、戦場に遊び心を持って臨むべきだと思うな。ルルシーは。

え?不謹慎だろうって?

弾っていうのはな、緊張して張り詰めて、びくびくしている奴に当たるんだよ。

踊りながら戦場をスキップしてるような奴にはあんまり当たらない。そういうもんだ。

じゃ、さっさと刈りますか。

狭い地下で敵の攻撃を薙ぎ払い、ついでに敵の首も刈り倒していく。

その作業は、最早稲刈りと同様。

勇気のある誰かが、俺を取り囲んで一斉射撃を敢行しようとするが。

ルルシーがそれを許さない。正確な手付きで、俺を援護してくれた。

「ば、化け物…」

あまりの圧倒的な力を前に、戦意喪失した一人の構成員が、床に尻餅をついた。

おっと。心が折れたか?

すると、その一人の構成員に触発されたのか。

同じく心が折れたらしい他の構成員が、次々に武器を捨てて両手を上げた。

「た、頼む…許してくれ…!」

「抵抗はしない。殺さないでくれ…」

…おやおや。

意外に早かったな。投降。

まぁ、本部が奇襲を受けたと聞いて、部下を置き去りにリーダーが真っ先にトンズラしようとする組織だからな。

構成員にも、組織への忠誠心など皆無なのだろう。

リーダーたる者、武器を引き連れて、率先して敵を迎え撃つくらいでないと。

まぁ良い。うるさい小蝿が静かになった。

リーダーを逃がす前に、さっさと追い…、

「そこまでだ!」

あ?

膝を折った、敵構成員共の後ろから。

固い顔をして、両手を上げた一人の女が歩いてきた。
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