The previous night of the world revolution~P.D.~
―――――…ようやく、ブロテ団長も覚悟を決めてくれたか。
「どう?…上手く行った?」
「…あぁ、上手く行ったよ」
俺の「理解者」である彼女は、良かったと言う風に頷いた。
『青薔薇連合会』が、傘下の下部組織を襲撃したのは事実だ。
しかしブロテ団長には、少々誇張気味に伝えた。
『青薔薇連合会』が下部組織を襲撃した理由だと?
それは勿論ある。聞いた話だと、『霧塵会』と『M.T.S社』が結託して、『青薔薇連合会』に黙って新兵器を…。
俺達がこれから手にしようとしている新兵器を、勝手に所有し、売り買いしていたからだ。
『青薔薇連合会』はこのことに気づき、これら二つの組織を奇襲したのだ。
だが、それらの経緯をブロテ団長に伝えるつもりはない。
『青薔薇連合会』は見せしめの為に、自分の仲間でさえ平気で虐殺する。
ブロテ団長には、そう思ってもらっていた方が良い。
だから本当のことは言わなかった。
それは背信行為ではないか、って?
馬鹿馬鹿しい。
それが何だと言うのだ。どんな理由があろうと、『青薔薇連合会』が自分の仲間を殺した事実に変わりはない。
『青薔薇連合会』は悪者だ。そうでないと困る。
実際、奴らは悪人以外の何者でもない。
当たり前だ。
「あの男」…ルレイア・ティシェリーが所属する組織なのだから。
一欠片でも、良心を期待する方が間違っている。
ブロテ団長には、それが分かっていない。
「じゃあ…これで、ブロテ団長も分かってくれたかな」
「…そうだと良いがな」
ブロテ団長は甘いのだ。
『青薔薇連合会』に強制捜査を仕掛けた頃は、ブロテ団長もあの男を憎み、恨み、敵視していた。
あの頃のブロテ団長は、俺達にとって頼り甲斐のある団長だった。
…それなのに。
あの男が元帝国騎士だったと知ってから、ブロテ団長の態度は一変した。
あろうことか、あの男に同情し始めたのだ。
元帝国騎士であったなら、悪い人ではないはずだと。
そんな馬鹿な話があるか?
あの男がかつて帝国騎士だったから、それが今の奴とどう関係があるんだ?
元帝国騎士だろうが、元神父だろうが、元警察官だろうが。
今のあいつはマフィアの幹部なのだ。その事実に変わりはないだろう。
そして、あいつの行った悪行もまた、決して許されるべきものではない。
ブロテ団長は長い間アシスファルト帝国にいて、あの男がこれまで何をしてきたのか知らないから。
奴の良心などという、この世で最も信頼出来ないものを信じようと思えるのだ。
俺達にしてみれば、笑止千万だ。
あるはずがない。あの男に良心など。
そんなものを信じて、後で痛い目を見るのはブロテ団長の方だ。
…いや。
痛い目を見る…くらいでは済まない可能性だってある。
最悪、命を奪われることも充分有り得るのだ。
奴の良心を信じた自分が馬鹿だった、と気づいたときにはもう遅い。
命を奪われてからでは遅い。
しかし、あの男の本当の脅威を、まだ見たこともないブロテ団長に…どうやってそのことを理解させれば良いのか。
考えていたところに、今回の『青薔薇連合会』傘下組織襲撃のニュースが入ってきたのだ。
寝耳に水ではあったが、これは俺達にとって朗報だった。
何故か?
ブロテ団長に、奴らの危険性を訴える絶好の口実になったからだ。
「どう?…上手く行った?」
「…あぁ、上手く行ったよ」
俺の「理解者」である彼女は、良かったと言う風に頷いた。
『青薔薇連合会』が、傘下の下部組織を襲撃したのは事実だ。
しかしブロテ団長には、少々誇張気味に伝えた。
『青薔薇連合会』が下部組織を襲撃した理由だと?
それは勿論ある。聞いた話だと、『霧塵会』と『M.T.S社』が結託して、『青薔薇連合会』に黙って新兵器を…。
俺達がこれから手にしようとしている新兵器を、勝手に所有し、売り買いしていたからだ。
『青薔薇連合会』はこのことに気づき、これら二つの組織を奇襲したのだ。
だが、それらの経緯をブロテ団長に伝えるつもりはない。
『青薔薇連合会』は見せしめの為に、自分の仲間でさえ平気で虐殺する。
ブロテ団長には、そう思ってもらっていた方が良い。
だから本当のことは言わなかった。
それは背信行為ではないか、って?
馬鹿馬鹿しい。
それが何だと言うのだ。どんな理由があろうと、『青薔薇連合会』が自分の仲間を殺した事実に変わりはない。
『青薔薇連合会』は悪者だ。そうでないと困る。
実際、奴らは悪人以外の何者でもない。
当たり前だ。
「あの男」…ルレイア・ティシェリーが所属する組織なのだから。
一欠片でも、良心を期待する方が間違っている。
ブロテ団長には、それが分かっていない。
「じゃあ…これで、ブロテ団長も分かってくれたかな」
「…そうだと良いがな」
ブロテ団長は甘いのだ。
『青薔薇連合会』に強制捜査を仕掛けた頃は、ブロテ団長もあの男を憎み、恨み、敵視していた。
あの頃のブロテ団長は、俺達にとって頼り甲斐のある団長だった。
…それなのに。
あの男が元帝国騎士だったと知ってから、ブロテ団長の態度は一変した。
あろうことか、あの男に同情し始めたのだ。
元帝国騎士であったなら、悪い人ではないはずだと。
そんな馬鹿な話があるか?
あの男がかつて帝国騎士だったから、それが今の奴とどう関係があるんだ?
元帝国騎士だろうが、元神父だろうが、元警察官だろうが。
今のあいつはマフィアの幹部なのだ。その事実に変わりはないだろう。
そして、あいつの行った悪行もまた、決して許されるべきものではない。
ブロテ団長は長い間アシスファルト帝国にいて、あの男がこれまで何をしてきたのか知らないから。
奴の良心などという、この世で最も信頼出来ないものを信じようと思えるのだ。
俺達にしてみれば、笑止千万だ。
あるはずがない。あの男に良心など。
そんなものを信じて、後で痛い目を見るのはブロテ団長の方だ。
…いや。
痛い目を見る…くらいでは済まない可能性だってある。
最悪、命を奪われることも充分有り得るのだ。
奴の良心を信じた自分が馬鹿だった、と気づいたときにはもう遅い。
命を奪われてからでは遅い。
しかし、あの男の本当の脅威を、まだ見たこともないブロテ団長に…どうやってそのことを理解させれば良いのか。
考えていたところに、今回の『青薔薇連合会』傘下組織襲撃のニュースが入ってきたのだ。
寝耳に水ではあったが、これは俺達にとって朗報だった。
何故か?
ブロテ団長に、奴らの危険性を訴える絶好の口実になったからだ。