The previous night of the world revolution~P.D.~
凄く率直な疑問。

…執事喫茶って、何だ?

聞いたことないんだけど…?

全国の執事の皆さんにしか使えない喫茶店?

「むむっ、ルルシー。その顔は、さては執事喫茶が何なのか分かってませんね?」

おぉ。お見通しだったか。

その通りだよ。

「そんな可愛いひよっこルルシーの為に、俺が執事喫茶の何たるかを教えてあげますよ」

誰がひよっこだって?

「お前が行きたがるくらいだから、どうせろくな場所じゃないんだろ」

「失敬な!ルルシーは執事喫茶というものを分かっていません」

特に分かりたいとも思ってないからな。実は。

「素晴らしい場所なんですよ。俺が経営してる新しいお店なんですけど」

ルレイアが?

ってことは、ルレイアが手掛けている数々の夜の店や、例のブラックカフェとやらと同じか。

やっぱりろくな場所ではなさそうだ。

「どういう店なんだ?」

「メイドカフェってあるでしょう?ルルシー知ってます?」

「知ってるよ」

さすがにな。

「…ちなみに、行ったことはあります?メイドカフェ…」

「…ないけど…」

「それは良かった。ルルシーが俺に黙って楽しくメイドカフェ通いしていたら、改めてルルシーを俺色に染め直す必要があるところでした」

危なっ。

良かった。俺、メイドカフェ行ったことなくて。

俺はルレイアの許可がなかったら、メイドカフェにも行けないのかよ。

いや、別に行きたいと思ったことないから良いけど。

「で、メイドカフェが何だって?執事喫茶とどう関係があるんだ?」

「あぁ、簡単な話ですよ。メイドカフェは女性が接待するでしょう?」

「そうだな」

メイドだからな。

「執事喫茶は、それの男版です」

「…成程」

…よく分かった。

行ったことないけど、よく分かったよ。

やっぱりろくな場所ではなさそうだな。

「ね?考えただけでわくわくするでしょう?」

それでわくわくするのはお前くらいだよ。

「ルーチェスも誘ったら、『何でもっと早く誘ってくれなかったんですか?』って大喜びで賛成してくれたんですよ」

ごめん、訂正するわ。

それでわくわくするのは、お前とルーチェスくらいだよ。

「ついでに、他の幹部組にも声をかけたんですよ」

マジで?アイズやアリューシャや、ルリシヤとシュノにも?

ルリシヤは賛成しそうだが、他の三人はどうなんだ…?

「アイズは何て?」

「『面白そうだね。後学の為にも、一度見ておこうかな』だそうです」

後学ってお前、何の後学だ?

この先いつか何処かで、執事喫茶の知識が役に立つときが来るとでも?

そうだな、人生は長いもんな。

いつか、「執事喫茶のこと知ってて良かった〜」と思う日が…。

…って、そんな日が来るか。

どんなシチュエーションだよ。

「アリューシャは何て言ってた?」

「『アイ公が行くならアリューシャも行く』とのことです」

まぁ、あいつはそういう奴だな。

いい加減親離れを…とは思うが、アイズが手綱を握ってなかったら、誰がアリューシャの面倒を見るのか。

やっぱり親離れしなくて良い。

「シュノは?」

「『ルレイアが行くなら、私も行くわ』だそうです」

まぁ、あいつは恋する乙女だからな。

ルレイアが行くところなら、デート感覚で一緒に行きたいのだろう。

シュノの気持ちを尊重…してあげたいのは山々だが。

執事喫茶って、間違ってもデートスポットにはなり得ないのでは…?
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