The previous night of the world revolution~P.D.~
皆様々な経緯と理由があって、執事喫茶への同行に同意したらしい。

あ、待てよ。

「ルリシヤは…って、あいつはルレイアに誘われたら断らんよな…」

むしろ、嬉々としてついていきそうだ。

以前、『青薔薇連合会』に入ったばかりの頃。

ルレイアが「洗礼」とばかりに夜の繁華街に連れ出したときも、ノリノリだったもんな。

「えぇ。『ふむ、それは楽しそうだな。よし、一緒に行こう』って快く承諾してくれました」

そうだろうよ。

ったく、『青薔薇連合会』の幹部組は、いつから常識人がいなくなったんだ?

「え?執事喫茶?何それ…。よく分からないから遠慮しておく」と言える奴はいないのか。

執事喫茶を侮辱する訳じゃないけども。

「でも執事っていうからには、男が接待してくれるんだろ?」

「えぇ。イケメン揃いの執事が選り取り見取りです」

いかにもルーチェスが喜びそうな場所だな、おい。

俺はルーチェスのような特殊性癖はないから、イケメンには萌えないのだが?

「要するに…ホストクラブみたいなもんか」

ルレイアがいくつも経営してるよな。

それの亜種と言うか、変化系と言うか…。

しかし、ルレイアは。

「むっ!失敬な。ホストクラブではないですよ。執事喫茶です」

俺にはその二つの違いが分からないよ。

アルコールを提供するか否かの違いしかないのでは?

「いずれにしても、それは女性客がターゲットなんだろ?男の行く場所じゃねぇよ…」

男が男に接待されたら、お互い気まずい空気にならないか?

「そんなことありませんよ。メイドカフェのことを考えてください。女だってメイドカフェ、行くでしょ?」

「…そうなのか?」

あれって、男が行くものだと思ってたんだけど。

女も行くのか。

何を求めて行くんだ?

「時代はジェンダーフリーですよ、ルルシー。男の行く場所、女の行く場所なんて決めつけは良くないです」

「それは…そうかもしれないけど…」

ルレイアにしてはまともなことを言うから、返答に困る。

「ルルシーもこれを機に、執事喫茶を体験してみましょうよ。何かに目覚めるかもしれませんよ?」

それは考えたくないな。

何も目覚めねぇよ。お前やルーチェスじゃないんだから。
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