The previous night of the world revolution~P.D.~
「あのな、ルレイア。俺達は遊んでて良い状況じゃないんだぞ。『霧塵会』は潰したけど、怪しい新兵器とやらの所在を掴むことは出来なかった上に」

「はい」

「『M.T.S社』に至っては、リーダーと幹部数人をみすみす逃してしまった。行方は探してるが、今のところ情報はゼロだ」

「そうですね」

「だが、そんなことはどうでも良い。一番心配なのは、未だにあの日の記憶が戻らないルーチェスだ」

結局あの記憶喪失は何が原因だったのか、未だに不明なのだ。

身体におかしいところは全くない…とのことだったが。

あれがもし、『M.T.S社』の隠し持っていられる謎の新兵器の影響だったら…と思うと。

いてもたってもいられないだろう。

「方々手を尽くして調べてはいるが、今のところ手掛かりは何もない。八方塞がりだ」

「そうみたいですね」

「以上が、今の状況。分かったか?」

これだけ懇切丁寧に、それこそアリューシャにでも教えるように説明したのだ。

ルレイアなら理解出来るだろう。

「それは分かってますよ」

そうか、分かってたのか。

あまりに危機感がないから、分かってないのかと思ったよ。

「でもねルルシー。でもですね、」

「『俺達が不安になっても仕方ない。むしろ余裕を持って、どっしり構えていよう』って言うんだろ?」

「おぉ、ルルシー凄い!エスパーですか?」

エスパーじゃねぇよ。

毎回毎回、似たようなことを言われて説き伏せられてるからな。

大体パターンが分かってきた。

これまでは言いくるめられていたが、そろそろ俺も学習したぞ。

「でも、確かにその通りでしょう?何も分からないのに、じたばたしたって仕方ないですよ」

むしろ、何も分からないからこそじたばたするのでは?

「だから執事喫茶にでも行って羽を伸ばそう、ってか?」

「はい!」

悪いが俺は、執事喫茶で癒やされるような性癖は持ってなくてな。

ルーチェスじゃないんだから。

「…まぁ、お前が行きたいなら勝手にすれば良い」

そもそもルレイアの店なんだからな。行きたいなら行けば良いよ。

「でも、俺を巻き込むな。俺はお前達と違って危機感を持ってこうど、」

「それはおかしいですよ、ルルシー」

「…何が?」

俺、何かおかしなこと言ったか?

お前の方が、よっぽどおかしなこと言ってるだろ。常日頃。
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