The previous night of the world revolution~P.D.~
こうして。

なし崩し的に、俺は今回も。

抵抗する術もなく、ルレイア達のお遊びに付き合うことになってしまった。

畜生。

「お、来たねルルシー」

「おせーよルル公!ったく時間にルーズな奴だぜ」

ぶん殴るぞアリューシャ。

お前にだけは言われたくない。

「気持ちは分かりますよ、ルルシーさん」

「あ…?」

ルーチェスが、キラキラした目で俺を見つめていた。

「イケメンが接待してくれるお店ですもんね。想像しただけで涎が出ますよね」

「…」

俺はお前とはちげーよ、と言いたいところだったが。

今世紀史上最大か?ってくらいルーチェスが輝いてるから、俺としては何も言えない。

ただ、一つ言うことがあるとしたら。

「お前嫁いるだろ。良いのか?執事喫茶なんか行って」

バレたら怒られるんじゃないのか。

しかしアンブローシア夫妻は、俺の予想の斜め上を行っていた。

「あ、はい。さっき連絡したんですけど」

え?

「嫁に?報告したのか?執事喫茶に行くって?」

「はい。あまりに嬉しくて」

「これからホストクラブ行くんですよ!」という報告を、嬉々として自分の嫁にする夫がいるか?

ホストクラブじゃなくて、正しくは執事喫茶だけども。

でも、似たようなものだろ?

夫がキャバクラに行ってるのを聞いて、不快に思わない嫁はいないだろう。

これがルヴィア嫁だったら、多分ルヴィアは今頃、何かの儀式の生贄にされてると思う。

酔っ払って帰っただけで、首根っこ掴まれて危うく洗濯機で回されるところだったんだもんな。

…しかし、ルーチェス嫁の反応はと言うと。

「『執事喫茶?羨まし〜!もし行ってみて良かったら、今度は私も連れてって!楽しんできてね〜♪』とのことでした」

理解があるにも程があるだろ。

何故そんなに無邪気に送り出せるのか。

…そんな羨ましいか?執事喫茶…。

良かったら替わろうか?って言ってあげたい。

「楽しみですよね、イケメンが接待してくれるんですよ?うふふふ…」

「…」

ごめんな、ルーチェス。

俺、今回の件でお前のこと、ずっと心配してたけどさ。

今この瞬間から、心配すんのやめるわ。

誰よりも余裕綽々じゃないかよ。

「よし、それじゃあ行きましょうか!いざ、執事喫茶へ!」

ルレイアの号令のもと。

結局抗えなかった俺は、執事喫茶なる店に連れて行かれることになった。

結局こうなるんだよなぁ。俺がいくら抵抗したところで…。
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