The previous night of the world revolution~P.D.~
やって来たのは、ルレイアが経営する執事喫茶。

その名も、『raffine』。

店名だけは上品で、親しみやすいんだよな。

店の外観を見ても非常にお洒落で、まさかこの店が執事喫茶だとは思えないくらい。

ルレイアのコンセプトみたいなもんなんだよ。

夜のお店でも、けばけばしい感じは全然なくて、むしろ上品で高貴な印象を受ける。

ルレイア曰く、「安くても高品質の商品を提供する」とのこと。

その企業努力は、俺も素直に感服しているが。

しかし、店で働いている女性を商品と呼ぶのは賛成出来ない。

執事喫茶『raffine』に到着して、まず驚いたのは。

「すげー人並んでる!すげー!」

そう。店の前に、ずらっと長い行列が出来ているのだ。

これにはアリューシャもびっくり。

俺もびっくりしたよ。

この店って、そんな行列が出来るような店だったのか?

「うふふ、凄いでしょう?数ヶ月前にオープンしてからというもの、連日大盛況なんですよ」

と、得意げなルレイア。

…そんなに人気なのか…この喫茶店…。

ルティス帝国の民は、皆疲れてるのかもしれない。

だから、メイドだの執事だのに癒やされようと、こういう店に足繁く通っているんだろう。

俺はルティス帝国民のメンタルヘルスが心配だよ。

「お客さんは、さすがに女性が多いね」

「あ、でも男の子もちらほらいるよ。あそこに…あ、その後ろにも」

アイズとシュノが、小声でそう話していた。

執事が接待してくれるとだけあって、行列の大半は女性客だ。

が、シュノが言う通り。

行列の中に、ちらほらと男性客の姿も見える。

マジか…。ルーチェスと話が合うんじゃないか…?

「しかし、これ何時間待ちだ…?夕方までには入れるかな…」

俺達、7人もいるからな。

この行列に並んで、全員が店に入れるのは何時間後になることやら。

喫茶店の回転率って、そんなに早い印象がないから…。もしかしたら、入れる頃には日が暮れ、

「もしもし、ルレイアが来ましたよー」

ルレイアは行列の隙間を抜け、強引に入店。

「…!お、お待ちしておりました!こちらにどうぞ」

ルレイアの姿を見て、店内にいた黒い燕尾服の男性は、急いで俺達7人を迎え入れてくれた。

…。

…外で待ってる人、ごめんな。

オーナー権限でズルをしてしまって…。ルレイアには、俺からよく言って聞かせておくよ。

こうして俺達は、待ち時間ゼロで入店出来ることになった。

本当ごめん。申し訳ない。
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