The previous night of the world revolution~P.D.~
悲しくも今日この日、姫呼ばわりされることになった俺は。

「これがメニュー表か…」

イケメン執事が置いていったメニュー表を、ぺらっと捲ってみた。

こういう喫茶店って初めて来たけど…。メニューはどうなってるんだろう。

一応喫茶店なんだから、コーヒーとか紅茶とかジュースとか、そういう普通の飲み物はあるんだろうか。

「さて、ルルシー姫は何を頼みます?」

お前までその呼び方、やめろ。

姫じゃねーよ。俺の顔の何処を見たら、姫の要素があるんだ?

「早速色々疲れたから、熱いものでも飲んで落ち着きたいよ、俺は」

「成程、それならハーブティーがありますよ」

ほう、ハーブティーなんてあるのか。

今の俺にピッタリじゃないか。

「じゃあハーブティーを頼むことにするよ」

「分かりました」

「お前は何を頼むんだ?」

「俺は紅茶にしますよ」

そうか。いつも通りだな。

「フードメニューはどうします?何か頼みますか?」

フードメニューか…。

正直、今は飲み物だけでお腹いっぱいな気分だからな。

「いや、良いよ」

「そうですか。では早速…」

厨房に向かってルレイアがスッと手を上げると。

先程のイケメン執事が、すぐさま俺達のテーブルにやって来た。

「お待たせしました、ルレイア様。ルルシー姫」

それやめろ。

「ご注文は如何されますか?」

「俺が紅茶で、姫はハーブティーをご所望です」

「畏まりました。他にご注文は?」

「こちらの、もえきゅん♡パフェをルルシー姫に」

おい待て。俺そんなこと一言も言ってない。

何だそのパフェ?

「畏まりました」

勝手に畏まるなよ。

そんなパフェを欲しがった覚えはないから、キャンセルで、と言いたいところだったが。

既に手遅れで、イケメン執事はお辞儀をして去っていった。

…。

「…ルレイア。俺がパフェを食べたいといつ言った?」

「え?ルルシーって恥ずかしがり屋だから、パフェが欲しくてもなかなか言い出せないのかなと思って」

気を利かせたつもりなのか?

余計なお世話だ。

ハーブティーだけ飲んで落ち着こうと思ったのに…。

「良いじゃないですか、ルルシー」

「何が良いんだよ?」

何も良くねーよ。

「折角来たんだから、目一杯楽しみましょうよ。ほら、皆さんを見習って」

「…何…?」

ルレイアが指差す先を見ると、他のテーブルについている幹部仲間達も、それぞれメニューを注文している真っ最中。

その声がここまで聞こえてきた。
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