The previous night of the world revolution~P.D.~
…注文をしてから、およそ15分後。

「お待たせしました、ルレイア様、ルルシー姫」

その呼び方、まだ慣れねぇ。

一生慣れなくて良いよ。姫なんて。

注文したメニューを持って、イケメン執事が颯爽と現れた。

「こちらが紅茶、こちらがハーブティー…。姫、こちらパフェになります」

「…どうも…」

ありがとうございますね。

出来れば、姫と呼ばないでくれればもっと嬉しかったな。

もえきゅんパフェなだけあって、ハート型にくり抜いたストロベリーアイスが三つも入っている。

更にアイスの上に、ハート型にデコレーションした生クリームと、これまたハート型のカラーシュガーが散りばめられている。

非常にお洒落な一品だが、男の俺にとっては…こう、なんて言うか、痛い。

…はぁ…。

内心溜め息をつきながら、ひとまずハーブティーを飲んで落ち着こう、としたら。

ルレイアがとんでもないことを言った。

「チェキ撮りましょうよ、三人で」

…は?

…チェキ?

「畏まりました。ではお持ちしますね」

イケメン執事は、にっこりと微笑んでチェキを取りに行った。

「…何するんだ?ルレイア…」

「執事喫茶の醍醐味でしょう?折角だからやりましょうよ」

醍醐味なのか?これが?

いや、俺は良い歳した男3人で写真を撮るなんて御免、

…だったのだが。

「お待たせしました。では撮りましょうか」

「はいはい。ほらルルシー姫、笑って笑って」

「誰が姫だよ。ちょ、おま」

「いえーい」

ルレイアはここぞとばかりに俺にくっついて、片手でピースサイン。

イケメン執事も写真に収まろうと、俺達の横に着席。

その状態で、パシャッと一枚。

…俺、多分めちゃくちゃ変な顔してたと思う。

案の定、出てきた写真を見ると。

ルレイアは相変わらずの写真映りの良さを披露。イケメン執事の方も、慣れているだけあって素敵な笑顔であった。

俺だけが一人、キョドりまくった顔をしていた。

…恥ずっ…。

それなのにイケメン執事は、相変わらず爽やかな笑顔でお礼を言った。

「ありがとうございました」

…こんなオプションサービスがあったとは。

これでいくら払うんだろうな…?生々しい話だけど…。

「では、ごゆっくりお召し上がりください。何かありましたら、いつでも呼んでくださいね」

イケメン執事はお辞儀をして、テーブルを離れていった。

…プロだな…。当たり前のことなのかも知れないけど…。

まず、あんな風に一日中微笑みを絶やさずに客に接する。それだけでも凄いことだと思う。

中には、いけ好かない客もいるだろうに。

そんな客相手でも、嫌な顔一つせず接客しないといけないんだもんな。

ルーチェスみたいな客を相手にするの、本当は嫌なんだろうなぁ…。

と思いながら、ルーチェスのテーブルを見てみると。

「魔法かけてください!萌え萌えきゅーんって、ほら。一緒に」

案の定、イケオジ執事に無茶振りしていた。

本当申し訳ない。

それでもちゃんと付き合ってくれてるんだから、俺はこの店の執事に頭が上がらないよ。

…あ、そうだ。パフェは普通に美味しかったよ。
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