The previous night of the world revolution~P.D.~
ハーブティーも飲んで、やれやれやっと落ち着いた…と思ったら。

いきなり店内の照明が落ちて、大きなスピーカーから音楽が流れ出した。

びっくりした。

「うわっ。な、何だ…!?」

「…!ルルシーのびっくりした顔!萌える…!」

そんなことで萌えるな。気色悪い。

「それより、これは何だ?停電か?」

「いえ、ステージの時間なんですよ。そろそろだと思ってました」

「す、ステージ…?」

…って、何?

何が始まるんだ…と思っていたら。

店内の一部、スポットライトが当たっているステージだけが明るくなった。

よく見たら、マイクスタンドが置いてある。

あれがステージ…?

「ほら、始まりますよ」

「…?」

ルレイアが指差したステージの上に、イケメン執事数名が上った。

!?

…それは、さながらアイドルグループのライブのようだった。

執事の皆さんは、流れてきた音楽に乗って歌い、踊り始めるではないか。

皆さん大変イケメンなので、本当アイドルみたい。

『frontier』もびっくり。

いや、さすがにルトリアの方が歌は上手いけど。

でも、息の合ったキレッキレのダンスを見るに、常日頃からよく練習してるんだということがよく分かる。

「これが…ステージ…」

プチライブみたいなもんだな。カラオケと呼ぶにはハイクオリティ過ぎる。

「一時間に一度、こうして執事達がライブをやってくれるんですよ」

と、ルレイアが教えてくれた。

へぇ、そんなサービスが…。

「メイドカフェだと割と定番イベントなんですが、この執事喫茶では、よりクオリティの高いダンスを追求していまして」

「はぁ」

「ここで働いてる執事の皆さんには、日夜歌やダンスのレッスンにも励んでもらっているんです。社内教育制度の充実化ですね」

「…ふーん…」

よく分からないけど、ここで働いてる執事さん達、結構大変なんだな。

そこらの水商売より断然大変だと思う。

偉いよ。こんなルレイアのめちゃくちゃな教育方針のもと、投げ出さずについてきてるんだから偉い。

更に。

「僕の推し執事に歌ってもらうことって出来ますか!是非!」

とかいう、鼻息荒くしたルーチェスの無茶振りにも、しっかり応えて。

客の指名した執事さんが、ソロで歌ったり踊ったりしてくれた。

ルレイア曰く、これは追加の有料オプションらしいのだが。

ルーチェスみたいな下衆な客が相手でも、にこやかに接待してくれるんだから。

本当、執事の皆さんには頭が上がらない。
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