The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…ルルシーや幹部組の皆で、執事喫茶を堪能したその帰り道。

「はー、楽しかった…」

「良かったですね、ルーチェス」

ルーチェスはこの上なくご満足の様子。

そんなに楽しんでもらえたとは。誘った甲斐があったというものですよ。

「絶対リピしますね、このお店。今度は嫁同伴で来ます」

「是非ともそうしてください」

「…夫婦で行くようなところではないだろ…」

ルルシーから何やらツッコミが入ったが、気にしないでおこう。

世の中にはメイドカフェデートだって存在するんだから、執事喫茶デートがあっても良いのでは?

「シュノさんは、どうでした?」

執事喫茶のメインターゲットは、シュノさんのような女性客。

是非とも、女性であるシュノさんの意見を聞いておきたかった。

「えっとね、シュノちゃんって呼ばれて、恥ずかしかったけど、楽しかった」

恥ずかしそうな素振りで、しかし素直にそう答えてくれた。

ほほう。それは何より。

「シュノちゃんって呼ばれたいんですか?それならいつでも呼んであげますよ。シュノちゃ、」

「だ、だめだめだめ!る、ルレイアにそう呼ばれたら恥ずかしいもん」

シュノさん、顔を真っ赤にして全力拒否。

そんなに拒否されるとちょっと傷つくが。

やっぱり、シュノさんはシュノさんということらしい。

「執事達の接客が全員高品質で、非日常を味わえる良い場所だったな」

と、ルリシヤも感想を教えてくれた。

でしょう?

やっぱりああいう場所は、非日常的な高級感が必要。

そうすれば、店の中の雰囲気に流されて、よりたくさんお金を落としてくれるというもの。

これも策略ですよ。

「アリューシャはどうでした?」

「ポテチ美味かった!」

アリューシャの返答は、いつも実にシンプル。
 
率直な意見をありがとうございました。

「そうですか。喜んでもらえて良かったです」

「…お前は普段からいつも、ポテチ食ってるだろうが…」

ルルシーがまたしてもツッコミを入れていたが、聞こえなかった振り。

そうじゃないんですよ。ねぇ?

いつものお菓子を、いつもと違う場所で食べたら、それはいつものお菓子とは一味違うんです。

熟年夫婦が自宅の寝室でのイチャに飽きて、気分転換にラブホで励むのと同じ。

気分の問題なんですよ。気分の。

「アイズ、お前からも何とか言ってやれ」

ルルシーが、アイズに向かってそう言った。

アイズは先程からスマートフォンを片手に、ポチポチと操作しながら歩いていた。

歩きスマホは良くないって?

俺達は『青薔薇連合会』の幹部だから許されるんですよ。

「…」

ルルシーに促されても、無言を貫くアイズ。

…お?

「…?アイズ、どうした?」

「…ん?あぁ、ごめん。ちょっと考え事してた」

「大丈夫か…?」

ルルシーに声をかけられて、アイズはようやく我に返っていた。

これは…。

もしかして、良くない兆候かな?

勘だけど、そう思った。
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