The previous night of the world revolution~P.D.~
離せと言ったから、離した。

じゃあ、代わりにあなたが俺の質問に答えてくれるんですよね。

「ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」

「こ、こんなことして…ただで済むと思うの…!?」

…あ?

ぶるぶる震える手で銃口を向けながら、超絶下手くそな脅しをかけてきた。
 
「そ、そっちがその気なら…じ、自警団だって、容赦はしな…」

「…ねぇ」

俺はその女の顔面に、鎌の刃を添わせた。

その素晴らしい切れ味に、女の皮膚に赤い線が走った。

こんなことをして、ただでは済まない?

帝国自警団も容赦をしない?

…それが何?

「今、俺が尋ねてたんですけど」

「…え…」

え、じゃないんですよ。

下らない脅しなんてどうでも良い。

それより…俺の質問に答えろ。

次の瞬間、女の顔が思いっきりのけ反った。

何のことはない。

鎌を持ってない方の手で、俺がぶん殴ってやったからだ。

血飛沫が宙を舞い、震える手で握っていた拳銃が吹っ飛んで、壁に当たって落ちた。

ちゃんと握っておかないからさ。唯一の武器を落とすんだよ。

「さぁ、これで目が覚めました?」

「う…うぅ…」

渾身の一撃を受けた拳銃女は、目を白黒させて呻いていた。

たった一発で伸びてしまうとは。お前、本当に帝国自警団の団員か?

さっきの男と言い、帝国騎士団より軟弱だな。

「質問に答えてくださいって、さっきから何度も言ってるのに…」

しかも、全然難しくも何ともない質問なんですよ。

はい、かいいえ、で答えられる簡単な質問。

それなのに、何故か聞いてももらえない。

「人の話はちゃんと聞きましょうって、小さい頃教えられなかってんですかね?ねぇルルシー」

「…お前がそれを言うか。世も末だな」

え?ルルシーあなた、今何て?

聞こえなかったことにしよう。

「伸びてるところ悪いんですけど、答えてもらえませんか。帝国自警団に、」

と、改めて拳銃女に尋ねようとしたら。

今度は。

「マリアーネから離れて!!」

再び甲高い声がして、またしても俺の質問は中断させられた。

…次から次に。横槍が入る。

しかも、やって来たのは帝国自警団の大物。

「…ブロテさんじゃないですか」

俺達の間に割って入ってきたのは。

帝国自警団団長、ブロテ・ルリシアスその人であった。
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