The previous night of the world revolution~P.D.~
解散されたけど、俺は帰らなかった。

当たり前だけど。

ルルシーが病室に移動したので、俺も一緒についていった。

「ルレイア、お前…いつまでいるつもりだ?」

と、ルルシーが聞いてきた。

「ここにいろって言ったじゃないですか」

「それもそうか…。じゃ、そこにいてくれ。今の俺じゃ、お前を羽交い締めにして止めることが出来ないからな」

「…」

…脚、怪我してるんですもんね。

医者が言うには、二週間も経てば普通に歩けるようになる、一ヶ月もあれば完治するとのことだったが。

アイズの言う通り。だからって安心は出来ない。

あのレーザー光線の中に、人体に有害な物質が含まれていないとも言い切れない。

検査はしているとのことだったが、その結果が出るまでにはまだかかるし…。

…実際に完治して、元気いっぱいのルルシーを見るまでは…とてもじゃないが、心から安心なんて出来ない。

「…」

「…?どうした、ルレイア」

「…いえ…」

「…珍しくしょげた顔してるな。お前らしくもない」

そうですか?

俺だってたまには、しょげた顔くらいしますよ。

繊細な乙女ですから。

「…お前はまさか、俺が怪我したのは自分のせいだとか思ってないか?」

ぎくっ。

ルルシー、あなたさすが鋭いですね。

俺のことよく分かってる。

「…実際俺のせいですよね、済みません」

「何謝ってんだ。俺が勝手に怪我しただけだろ」

「でも…庇われてしまって。俺がもっと早く気づいていれば…」

俺がもっと周囲をよく見ていれば、ルルシーが怪我をすることは…。

「…ルレイア、ちょっと来い」

「はい?」

ちょいちょい、とベッドの上のルルシーに手招きされ。

傍に行ってみると、顔面にルルシー渾身のデコピンを食らった。

ピコンっ、てなもんだ。

「あ痛っ」

「アホ。背負う必要ないものを背負うな。お前のせいじゃない」

ルルシーなら、そう言うんじゃないかと思った。

その気持ちは嬉しいけど…。

「でも…ルルシー…」

「でも、じゃない。俺が良いって言ってんだから、良いんだ」

結構な暴論ですよね、それ。

「お前が怪我するより百倍はマシだ」

「それはズルいですよ。俺だってルルシーには怪我して欲しくないんですからね」

「残念だったな。じゃあ今回は俺の勝ちだ」

何ですか、それは。

怪我したのはルルシーなのに、ルルシーが勝ちで俺が負け?

…変な話だ。

「アイズの言う通り、休暇だと思ってゆっくりするよ。ついでにお前も休め」

「休めって言われても…。帝国自警団に囚われている間、休暇みたいなものでしたし…」

「俺の目の届く範囲にいろよ。目を離したら、何処で何するか分からないからな」

「そんな、あなた…言うこと聞かない子供に言い聞かせるみたいに…」

「違うのか?」

違いますよ。失礼な。

俺はいつだって素直に言うこと聞くでしょうが。

「…分かりました。じゃあ、ここにいます」

「あぁ。そうしろ」

「ルルシーに添い寝します」

「そこまではせんで良い」

酷い。

傍にいろって言ったじゃないですか。添い寝は駄目ってどういうことだ。

…ま、良いか。

ルルシーが動けるようになるまでは、俺も動けないし…。

逃げた『M.T.S社』のリーダーと幹部達の件は、アイズ達に任せ。

俺はここで、ルルシーとイチャイチャのんびり過ごすことにしますよ。
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