The previous night of the world revolution~P.D.~
「しなくて良いから、箸を返せよ」

「え?だってルルシーにあーんして食べさせてあげようと…」

「結構だ」

怪我をしたのは脚だけで、それ以外はピンピンしてるんだから。

いちいちそんな…小っ恥ずかしい方法で食べさせてもらわなくても、自分で食べられる。

ちなみにこのやり取り、食事の時間になる度に繰り返されている。

自分で食べるっての。何やろうとしてんだお前は。

ここが個室で良かった。もし相部屋だったら、あまりの恥ずかしさに、いたたまれなくなるところだった。

いや、個室でも嫌だよ。やめろ。

「ルルシーは怪我人なんですよ?大人しくお世話されなきゃいけないでしょう?」

それはそうなのかもしれないが。

「自分のことくらい、自分でやるよ」

わざわざ食べさせてもらわなくてもさ。

しかもこれ、今は食事の時間だけど。

食事以外でも、服を着替えるときは「俺が着替えさせてあげます!」とか言って、妙な世話を焼き。

着替えを手伝うとは名ばかり、身体のあちこちをベタベタ触ってくるわ。

入浴の時間になれば、「お風呂…?俺も同行します!」とか言って、看護師さんの度肝を抜き。

まぁそれはさすがに追い返したけど、非常に恥ずかしい思いをすることになった。

いい加減にしろよ、マジで。

こんなことなら、「目の届く範囲にいろ」なんて言わなきゃ良かったかもしれない。

顔見せてくれるだけで良いよ。

「あのな。俺はお前に看護を要請した覚えはないぞ。お前が世話を焼く必要はないんだ」

「でも俺は、ルルシーのお世話をしたいんですよ」

何で意地張ってんの?

「必要ない。自分で食べられるし、着替えだって自分で出来るし」

「そんな無理しなくて良いんですよ?俺に任せてくれれば」

「別に無理はしてねぇよ」

ちょっと脚を庇えば良いだけだ。

職業柄、このような傷や怪我には慣れている。

…まぁ、レーザー銃創を負ったのは初めてだけど。
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