The previous night of the world revolution~P.D.~
真っ先に入ってきたのはアリューシャと、そしてシュノさんである。

その後ろから。

「やぁルルシー。元気になって良かったよ。お帰り」

「言ってくれたら、病院に迎えに行ったのに。水臭いですね」

「全くだ」

アイズ、ルーチェス、ルリシヤの三人もやって来た。

どうも。いらっしゃい。

「お、お前ら…。あのな、勝手にアシュトーリアさんの部屋に…」

「あら、良いのよ気にしなくて。皆ルルシーのことが心配だったのよ」

と、一転してにこにこ顔のアシュトーリアさんである。

「退院祝い!ルル公、アリューシャに退院祝いくれ」

暗い話は何処へやら、アリューシャは陽気にそう言った。

「は?…お前な、退院祝いってのは退院した本人に渡すものだぞ」

「ほぇ?退院した人が『迷惑かけました』って色んな人に配るものじゃねーの?」

アリューシャの中で「退院祝い」とは、非常に斬新な意味であるらしい。

成程。そういう解釈もある。

「折角だからパーティーしようぜ、パーティー!ルル公帰ってきたから!」

「いや、あのなぁ。今はそれどころじゃないだろ?逃げた連中の行方を…」

「あらあら、楽しそうね、パーティー。是非とも私もお呼ばれしたいわ」

「ちょ、アシュトーリアさん?」

おっと、残念でしたねルルシー。

この場で一番偉い人が、誰よりもルルシー退院祝いパーティーに賛成しているとは。

これはもう断れない流れですね。

「良いね、景気づけに祝杯でもあげようか」

「ルルシー、私フライドポテト作ってくるわ。任せて」

「おっ、ここは僕の料理の腕の見せ所ですね?」

「ふむ。では俺はマジックの下準備をするとしようか」

他の幹部組もノリノリである。

分かる分かる。俺も超ノリノリですから。

辛気臭い話題ばっかりじゃあ、気が滅入りますよね。

なら俺は、いつものゴスロリ印のケーキを用意しますかね。

お祝いにはケーキが必須だろう?

「…はぁ…」

ルルシーは、呆れたように深々と溜め息。

「まぁまぁ、良いじゃないですかルルシー。皆ルルシーが帰ってきて嬉しいんですよ」

「それどころじゃないだろ、今…」

「神妙にしてたって『M.T.S社』のリーダー達が見つかる訳でもなし。果報は寝て待てって言うでしょう?果報はパーティーして待ちましょうよ」

「…暴論だ…」

もうルルシー。それは言わないお約束。でしょう?
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