The previous night of the world revolution~P.D.~
幹部組も、アシュトーリアさんも、早速今夜の退院祝いパーティーの話題に夢中であった。

何着ていこうかとか、何持っていこうかとか。

それは非常に結構なのだが…。

「…ねぇ、アイズレンシアさん」

「うん?」

俺は、そっとアイズに声をかけた。

皆の楽しそうな雰囲気に水を差したくないから、小さな声でな。

「どうなんです、実際のところ。連中の足取りは掴めそうですか?」

ルルシーは俺達を「浮かれている」と思って呆れてるのかもしれないけど。

これでも俺だって、結構気にしてるんですよ。

裏社会に精通する俺達『青薔薇連合会』が、これほど人探しに手間取るとは。

尋常ではない。

「今のところ、手掛かりはほとんどないね」

と、アイズ。

…成程。

「ほとんど…ということは、少しはあるんですね?」

「…あくまでこれは、私の推論なんだけどね。…聞き流してくれる?」

「良いでしょう」

俺が頷くと、アイズは周囲に聞こえないよう、小声でこう言った。

「サナリ派が動いているんじゃないかと思うんだ」

…ほう。それはそれは。

「これまでのように水面下でコソコソ動くんじゃない。大掛かりな何かを…仕掛けてくるつもりなのかもしれない」

「それは厄介ですね」

「とても厄介だね。…だから、パーティーでもして気分を変えないと、気が滅入って仕方ないよ」

全くですね。

じゃあ、昨今の暗い話題を蹴散らすかのように。

今夜ばかりは、ルルシーの退院祝いを盛大に催すとしましょう。









…しかし。





< 418 / 634 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop