The previous night of the world revolution~P.D.~
「落ち着けルルシー先輩。行楽地に来てまで夫婦喧嘩は良くないぞ」

そうそう、ルリシヤの言う通り。

「夫婦じゃねぇし、毎回毎回、俺を怒らせてるのはお前らだ」

「それに、この場にいないルーチェス後輩の為にも、ルルシー先輩の水着姿をばっちり写真に収めておかなくては」

「見せんで良い!そんなもの」

そんなもの?

ルルシーの水着姿の写真は、俺にとってルトリアさんの水着姿より遥かに貴重ですよ。

ルーチェスだって見たいに決まってる。

何せ、ルーチェスは俺の弟子ですから。

「そう言われても、もう充分に撮影済み…。…よし、ルルシー先輩の水着盗撮アルバムの完成だ。これをメールに添付して…ルーチェス後輩に送信、と」

タブレットを操り、ルリシヤはルーチェスにメールを送信した。

何その素敵なアルバム。

「ルリシヤ、俺も。俺もそのフォトアルバム欲しいです」

「勿論だ、ルレイア先輩。そう言うと思って…既にルレイア先輩のスマホに送っておいた」

「さっすがルリシヤ!」

仕事が早い。

スマホを確認すると、ルリシヤの言った通り、ルルシーのちょっぴりえっちな水着姿の写真の数々が届いていた。

これは永久保存版である。

おまけに、写真のみならず動画までついている。

さっき俺に、日焼け止めを塗ってくれているときの動画。

密かに撮影していてくれたらしい。

さすがと言わざるを得ない。

…しかし。

「…」

お怒りのルルシーは、ピキピキ、と血管を浮き立たせていた。

いやん、その顔も素敵。

「貴様ら…まとめて、大海原に捨ててくるぞ」

そして、この脅し文句である。

やば。格好良くて涎が出そう。

激おこモードのルルシーだったが、そこに救世主が現れた。

「まぁまぁ、落ち着いてルルシー」

我らが幹部組のリーダー、アイズレンシアである。

「どうやったら落ち着いてられるんだよ。俺は盗撮されたんだぞ?」

「だって、アリューシャもシュノも寝てるし。起こさないであげて」

アイズの指差す先では、シュノさんとアリューシャが熟睡していた。

砂浜に埋もれたアリューシャの上に、いつの間にかアイズがビーチパラソルを傾けてあげていた。

「あいつ、いつの間に…。寝るのはやっ…」

さっきまで喋っていたのに、気がついたら夢の中にいるアリューシャ。

さすが、昼寝をジョブとするだけある。

しかし、ルルシーは納得行かない表情。

「それにな、盗撮写真をこの場にいない第三者に横流しされてるんだぞ?これもう事件だろ。警察に訴えたら逮捕状出るぞ」

むっ。

「大丈夫ですよ、ルルシー。ルルシーのお宝画像を、みすみす流出させたりはしません。ちゃんと、俺とルリシヤとルーチェスの、ルルシー大好き三人組の中だけで仲良くシェアします」

「全く安心出来ないメンバーだな。変態三人組の間違いだろ」

ルルシーの水着姿の写真なんてお宝を、価値も分からない平民達に見せてたまるものか。

この素晴らしき写真と動画の数々は、俺達の中だけで大事に保存するつもりである。

だから安心してくださいね、ルルシー。
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