The previous night of the world revolution~P.D.~
…いや、円満に…というのは美化し過ぎか。

反対する者は勿論いた。当たり前だが。

組織が何かを決定するとき、必ず賛成する者もいれば、反対する者もいる。

誰もが満場一致で納得する決定など、まず有り得ないと言っても良い。

必ず、誰かしらが反対意見を口にするものだよ。

そして、先代がアシュトーリアさんを次期首領として指名していたにも関わらず、反対意見を口にしたのは誰か。

それが、先々代の姪っ子一派の系統を汲む連中。

その名も『ブルーローズ・ユニオン』。

旧『青薔薇連合会』派、またはサナリ派とも呼ばれている。

サナリ派の一派は、頭組織である『ブルーローズ・ユニオン』を筆頭に、数々の傘下組織を従えている。

『霧塵会』、『M.T.S社』といった組織もサナリ派の組織だ。

同じ『青薔薇連合会』という組織の中でも、派閥があるという訳だ。

ちなみに俺達はサナリ派ではない。

彼らが旧『青薔薇連合会』派と呼ぶなら、俺達は新『青薔薇連合会』派。

さしづめ、アシュトーリア派…ヴァルレンシー派と呼ぶべきか?

どっちでも良いけど。

問題は、サナリ派の連中がアシュトーリアさんを『青薔薇連合会』の首領として認めていない、という点だ。

そもそも、先代首領のことも認めていなかったのだ。

その先代首領が指名したアシュトーリアさんを、首領として認めるはずがない。

サナリ派は今でも、偉大な先々代首領サナリ・リバニーの血縁者こそが。

真に『青薔薇連合会』の首領に相応しいと、固い意志を持っているのだ。

…今回アシュトーリアさんの命が狙われたのも、これが原因だったということなのだろう。

奴らはとうとう、満を持し、これまでやりたくてたまらなかったことを実行したのだ。

忌々しい先代首領が指名したアシュトーリア・ヴァルレンシーを暗殺して、『青薔薇連合会』首領の座をその手に取り戻す。

レーザー兵器を開発して売り捌き、『M.T.S社』の連中を焚き付け、情報屋を買収して俺達と帝国自警団をぶつけ合わせたのも。

全ては、サナリ派の計画だったのだろう。

…そう思うと、実に不愉快である。
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