The previous night of the world revolution~P.D.~
「僕は反対ですね。偉大な先々代の血縁者…と言っても、偉大だったのは先々代であって、あなたじゃないでしょう?」

ルーチェスがセルテリシアに向かって言った。

俺より先に痺れを切らしたらしい。

ルーチェスはこの場にいる誰よりも、血筋の話に敏感だろうから。 

よく言った、その通りですよ。さすが俺の弟子。

しかし。

セルテリシアの側近(男)は、ジロッとルーチェスを睨んだ。

「新参者が、口を挟まないでもらいたい」

「…えー…」

成程、そういう言い方をするか。

「ましてや、あなたは正式には幹部ではないんでしょう?この場に同席する権利もないと思いますが」

側近(女)が言った。

そりゃ確かに、ルーチェスは正式には幹部ではなく『裏幹部』だが。

でも、実質幹部扱いだし。

発言する権利どころか、この場にいる権利もないと?

「あ、そうですか。じゃあ黙っときますよ」

ルーチェスは呆れたようにそう言って、口を噤んだ。

口論するのは得策ではないと判断したらしい。

俺の弟子に、よくも酷いことを言ってくれましたね。

じゃあ、俺もそろそろ参戦させてもらいますよ。

師として、弟子の仇を取らわなければいけませんから。

「セルテリシアさん。あなたが血筋的に相応しいのは分かります。しかし、あなたにその能力が伴っていると言えるのでしょうか?」

本当は、もっと皮肉たっぷりに文句つけてやりたかったんだが。

これでもアイズの面子を立てる為に、優しく言ったつもりである。

本当はもっと罵倒してやりたい。「身の程を知れよばーか」とか。

しかし、必死にその衝動を抑えている。

いやぁ、俺って素晴らしい気遣いが出来る大人だな。
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