The previous night of the world revolution~P.D.~
…しかし。

エペルは俺のこともジロッと睨み、こう吐き捨てた。

「だから、新参者は黙ってくださいと言ってるでしょう」

…え。

俺も新参者扱いなんですか?

俺、もう『青薔薇連合会』の幹部になってかなり長くなってきたつもりなんだけど。

ルルシーやシュノさんくらいの古参にならないと、新参者呼ばわりなんですか?

俺なら「貧民街上がり」と罵倒出来ないから、代わりに「新参者」と罵ることにしたのかもしれない。

語彙力貧弱か?お?

「俺が新参者だったら、あなたはさぞや『青薔薇連合会』で長いんでしょうね」

「僕は親の代から『ブルーローズ・ユニオン』に所属しています」

まさか、生まれたときから『青薔薇連合会』の一員だったとは。

それはおみそれしました。

しかし、それなら俺どころじゃなくて、ルルシーやシュノさんも「新参者」扱いですね。

「所属している期間の長さが、忠誠心の深さに直結するんですか?その考えは浅はかだと思いますけど」

「ましてやあなたは、元貴族だと聞いていますが」

「…」

…あぁ、成程。

今度はそういう方向で罵倒してきますか。

「貴族のご子息様に、誉れある『青薔薇連合会』首領の座を預かるのがどういうことか、お分かりになると?」

「…さぁ…。こんな面倒臭い口出しをされるなら、俺は絶対なりたくないなとは思いますけど…」

おっと。つい本音が。

仕方ありませんね。俺、正直な良い子ですから。

でも、これ以上俺が口を滑らせたらアイズの立場が悪くなってしまう。

良い子にして…ちょっとお口チャックしておこう。

やれば出来るんですよ、俺。良い子ですからね。

すると、そんな俺の代わりに。

「ルレイア先輩が新参なら、俺なんか生まれたてのひよこさながらの新参者だが…」

と、ずっと沈黙していたルリシヤが口を開いた。

ルリシヤがひよこなら…ルーチェスは卵ですね。

「それでも敢えて言わせてもらうが、『青薔薇連合会』にも、『ブルーローズ・ユニオン』にも、貧民街上がりの構成員や新参の構成員もいるはずだ。お前達はその構成員のことも馬鹿にするのか?」

良い質問だ。さすがルリシヤ。

「末端の構成員を大切に出来ない組織に、未来はないと思うぞ」

全くですよ。

上に立つ者に相応しい(キリッ)とか言うなら、新参だろうが貧民街上がりだろうが、公平に接するべきなのでは?

それが上に立つ者の器量というものだろう。

アシュトーリアさんを見てみろ。貧民街出身だろうが、王族出身だろうが、広い懐で受け入れてくれたぞ。

そういう器の大きさが必要なんですよ。血筋じゃなくて。

その辺が分からないんですかね。

「余計な口出しは無用です。いくら言葉を弄しても、あなたは首領にはなれませんよ」

「…」

セルテリシアは、ルリシヤを睨んでそう言った。

これにはルリシヤも、真顔で固まっていた。

俺も固まったよ。

この女、何を勘違いしてるんだ?

俺やルーチェスやルリシヤが口を挟んだのは、俺達が首領の座を狙っているからだと思ってるのか?

…え?アホ?アホなのこいつ?

引くわー…。
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