The previous night of the world revolution~P.D.~
これって結構ピンチなんじゃないですか?
 
だって、何かが間違ったら、ワンチャンこの勘違いアホ女が『青薔薇連合会』の首領になってしまうんだろう?

やばいですよそれは。めっちゃ嫌だ。

もしそうなったら、俺はこの女の傘下で働くつもりはない。

すぐに『青薔薇連合会』を離反して、『ネオ青薔薇連合会』みたいな組織を新設しよう。

で、こいつらがアシュトーリアさんにしたように、セルテリシアを暗殺しよう。

それでイーブンだろう?

うわぁ、俺って超頭良い。

「…そうまでして首領になりたいか。アシュトーリアさんを暗殺しようとしてまで」

アイズは憎しみを込めた声でそう言った。

アイズがこういう声を出すのは、非常に珍しいですね。

さすが、迫力と言うか…凄みがある。

普段怒らない人が怒るとめっちゃ怖いみたいな法則。あれに似てますね。

「まさか。私はアシュトーリア様の暗殺を企てたりしていません」

あまりにも白々しい。

アリューシャじゃないけど、しらじらばっくれてんじゃねぇ!って言いたくなりますね。

「それで、どうするつもり?口でいくら『自分こそが相応しい』と言っても、誰も耳を貸さないよ。アシュトーリアさんに次期首領として指名されたのは君じゃなくて、この私だからね」

正論だな。

投票でもします?『青薔薇連合会』構成員の皆で。

「それどころが、現首領が危機的状況にある今、組織の衰弱を狙った他組織に目をつけられているであろう今…不要な内輪揉めをしている余裕があると?」

これも正論だな。

下らない首領争いしてるところを、他組織に狙われたらどうするんだ。

サナリ派の連中と共倒れなんて、冗談じゃないぞ。

「…私はあくまで、穏便に次期首領の座を譲って欲しかっただけです」

と、セルテリシア。

これの何処が穏便なんだ?

大喧嘩じゃん。

「しかし、受け入れて頂けないなら仕方ありませんね」
 
そう言って、セルテリシアは席から立ち上がった。

「アシュトーリア様の回復を祈っています。…それでは、今日のところは失礼しますね」

…妙に聞き分け良く、セルテリシアは引き下がった。

エペルとミミニア、二人の側近を連れ、見送りもなく立ち去っていった。

…あいつら…。

「…」

ちらりと横目で見ると、アイズは厳しい顔をしてセルテリシアの背中を見つめていた。

…そんな顔にもなりますよね、当然。
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