The previous night of the world revolution~P.D.~
「…何だ…?あいつら、妙にあっさり帰っていったな…」

と、ちょっと拍子抜けしたらしいルルシー。

「…諦めたのか…?」

そうだったら良いんですけどねぇ。

そんなに聞き分けの良い奴らじゃないでしょう。

「今日のところは引き下がってやる、ってところでしょう。もとより連中も、話し合いでアイズが次期首領の座を譲るとは思ってませんよ」

今日のは様子見…軽いジャブを打ち込みに来ただけだ。

アシュトーリアさんを暗殺しようとしてまで、次期首領の座を狙ってるような奴らだ。

最悪…今度はアイズの命を狙ってもおかしくない。

やりかねないだろう。そのくらいのことは。

「あいつらっ…。あいつら、アシュトーリアさんのことも、アイズのことも、ルレイアのことまで馬鹿にして…!」

シュノさんは、憎々しげにセルテリシアの去っていった扉を睨んで言った。

シュノさんなりに、アイズに「静かにしていて」と言われて必死に我慢してたんだろうな。

本当は、すぐにでもこうして激高したかったに違いない。

そして、それはアリューシャも同じだ。

「むっかーっ!!あいつらマジ、本当…むっかーっ!!」

元々貧弱だったアリューシャの語彙力が、更に貧弱になっている。

でも、言いたいことはよく分かる。

そりゃムカつきますよ。俺だって最高にムカついてますから。今。

「調子乗りやがってよ〜あいつら!アリューシャが格好良く撃ち抜いてやろうか!」

もうそれで良いんじゃないかなぁ。

煩わしい問題、全部解決しそうだ。

大体、アシュトーリアさんの命を狙うような奴らだぞ?

やっぱり殺して良いと思う。

…が。

「それは無理だよ、アリューシャ。サナリ派は『青薔薇連合会』の中でも、未だにかなりの発言権を有している。セルテリシアをどうにかすれば、それこそ『青薔薇連合会』は内乱状態だよ」

「な、ないらん?」

「仲間割れしちゃうってこと」

「ぐぬぬ…」

既に仲間割れしてるようなもんですけどね。

旧『青薔薇連合会』派と新『青薔薇連合会』派の、血で血を洗う抗争…は、さすがに遠慮したい。

…でも…。

「向こうがその気なら、こちらも受けて立つくらいの姿勢を見せた方が良いんじゃありませんか?」

奴らは既に、アシュトーリアさんの命を奪おうとしたのだ。

本当は殺してしまいたかったのだろうが、狙い所が悪かったか?

だが、アシュトーリアさん暗殺を企てた時点で、既に争いの火蓋は切って落とされているのだ。

例えもし、アイズが争いを嫌ってセルテリシアに首領の座を譲ったとして。

それで『青薔薇連合会』の首領が、あのサナリ派のセルテリシア・リバニーになってしまったら…。

そんな『青薔薇連合会』、俺は嫌だね。

元々俺は、『青薔薇連合会』そのものにそれほど愛着がある訳ではない。

ただルルシーがいてくれればそれで良いのだ。

ましてや、あの小娘を首領と呼び、あの女の為に働くなんて以ての外。

もしそうなったら、速攻『青薔薇連合会』を離反して、ルルシーと一緒に別の組織を立ち上げようかな。

で、セルテリシアが首領になった『青薔薇連合会』を潰して、今度はアイズを擁立して新生『青薔薇連合会』を作ろう。

よし、そうしよう。
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