The previous night of the world revolution~P.D.~
「…」

これには、ルルシーも無言であった。

ふざけんな馬鹿、誰がお前のもとで働くか、とは言わない。

ルルシーにとっても魅力的だろう。

俺とルルシーは、基本的に考えることが同じですから。

ルルシーもまた、俺と一緒にいられるなら何処でも良いと思っているはずだ。

ルルシーには、俺以上にアシュトーリアさんに恩がある。

…けれど。

「…アシュトーリア・ヴァルレンシーさんへの恩返しなら、もう充分なのではありませんか」

という、セルテリシアの一言が決定打だった。

ふむ。そうかもしれませんね。

拾ってもらった恩なら、もう充分返しましたよね。

あとは…俺の好きなようにやらせてもらおう。

「目の前でそんなに熱烈なスカウトを見せられると、俺の立つ瀬がないんだが」

と、ルリシヤが言った。

あぁ済みません。外野みたいな扱いになってましたね。

「あなたもです、ルリシヤ・クロータスさん。あなたもルレイアさんに負けず劣らずの逸材。『ブルーローズ・ユニオン』に来て頂けると、とても助かります」

セルテリシアは、ルリシヤにもそう言った。

「勿論あなたにも、十倍の報酬と幹部の地位をお約束します」

大盤振る舞いですね。

金に物を言わせて引き抜きとは。

「…ちなみにそれ、僕はどうなるんですか?僕は要らないですか?」

「いいえ、勿論あなたも歓迎します。『裏幹部』ではなく、正式な幹部として」

ルーチェスの問いに、セルテリシアが答えた。

またまた大盤振る舞い。

この場にいる四人、まとめて全員引き抜きですか。

剛毅な人事採用だ。

ルティス帝国広しと言えども、こんな剛毅で贅沢な人事採用がありますかね?

「お願いです。私に力を貸してください」

と言って頭を下げるセルテリシアは、とても『青薔薇連合会』の次期首領とは思えない腰の低さである。

お前、本当に首領になるつもりあるのか?
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