The previous night of the world revolution~P.D.~
首領になろうとしている者とは思えないくらい、腰の低い態度である。

しかし…その誠意は嫌いじゃない。

目的の為、形振り構わず相手に頭を下げる…その素直さは評価に値しますよ。

俺だって、傲岸不遜な上司のもとで働きたくもないですしね。

どうせ働くなら、居心地の良い職場で働きたい。誰でもそう思うでしょう?

窮屈な思いをするのは御免だ。そういうのは、帝国騎士団にいたときに充分味わった。

何より、誠意を持って俺達に交渉を持ちかける、セルテリシアの態度は非常に好ましい。

俺も素直な正直者ですからね。同類には好感が持てるんですよ。

「…でも俺が新生『青薔薇連合会』の幹部になったら、反対する者もいるのでは?」

例え俺が鞍替えしようとも、ヴァルレンシー派の幹部だったことは周知の事実である訳で。

『ブルーローズ・ユニオン』の古参組は、寝返った俺のことを煙たがるのでは?

元ヴァルレンシー派の幹部が、デカい顔をするなよ、と。

「確かに…反対されるでしょうね。特に…エペルやミミニアには…」

「…」

あなたの側近二人ですか。

いかにも頭固そうでしたもんね。

「でも、あなた方を誘ったのは私ですから…。誰にも文句は言わせません。それに、あなた方の働きを見れば、皆納得してくれるはずです」

文句を言う奴には、働きで自分の価値を証明してみせろ、ってか。

…分かりましたよ。

帝国騎士団以上に、マフィアという組織は実力主義ですからね。

俺がそれなりの功績を上げ、自分の価値を証明してみせれば…誰も文句は言えなくなる。

そういえば、俺が最初に『青薔薇連合会』に入ったときもそうだったしな。

元帝国騎士団の隊長だということで、随分やっかまれたもんだ。主にシュノさんにな。

それでも、俺は『青薔薇連合会』で自分の存在価値を証明してみせ、今の立場を築き上げたのだ。

それと同じことをするだけだと思えば、大した問題ではない、か。
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