The previous night of the world revolution~P.D.~
「くれぐれも慎重に動けよ、ルレイア」

と、ルルシーが強く俺に釘を刺してきた。

「俺はいつだって慎重ですよ」

「猪突猛進が人間になったような奴が、何だって?」

ルルシーは俺のことを何だと思ってるんですか?

「俺達は『ブルーローズ・ユニオン』に受け入れられたとはいえ、俺達に不信感を抱いてる奴は多い。右を向いても左を向いても、信用出来る奴はいないんだぞ」

その通りです。

寂しいですよね。周りを見たら敵ばっかりで。

「特に、あのセルテリシアの側近二人ですよね」

「…エペルとミミニアとか言ったか」

「えぇ、そいつらです」

さっきエントランスで会ったときも、思いっきり敵愾心丸出しでしたし。

しかもあの二人、俺が本気で裏切った訳じゃないことを確信していた。

セルテリシアは信じてくれてるのになぁ。

「あの二人の信用を得るのが、目下の目標だと思った方が良いですね」

「…でも、当のセルテリシアには一応信用してもらってるんだろう?側近ごときが何を言おうと、セルテリシアに信用されてるなら…」

そんなに話が単純だったら、楽だったんですけどねぇ。

「逆の方がまだマシでしたよ」

セルテリシアには信用されてないけど、エペルとミミニアには信用されている。という状況の方が…もっと与し易かった。

「そこまでか?」

「えぇ。俺の見立てでは…どうやら『ブルーローズ・ユニオン』で実質的な支配権を持っているのは、あの側近二人のようですから」

セルテリシアの腰が低いのもそのせいだ。

さっきも、「我々に相談もなく云々」と怒られていたしな。

恐らくセルテリシアは飾りのようなものだ。

本当に警戒するべきは、あの側近達だな。

…ともかく。

「探ってみないことには、まだ分かりませんね。身の振り方を決めるのは、もう少しこの組織に慣れてからにしましょう」

「…そうだな」

「くれぐれも言動には気をつけてくださいね。ルルシーって、割と顔に出るタイプですから」

「うっ…。そ、そりゃお前やルーチェスに比べたら…。…分かった、気をつけるよ」

ありがとうございます。

後で同様のことを、ルーチェスにも伝えておかなければな。
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