The previous night of the world revolution~P.D.~
「それで、セカイさん。その年下の女性を…」

「ロリっ子だな?可愛いの?」

セルテリシアが可愛いのかって?

そうだな…。

「可愛さのレベルで言えば、セカイさんの8分の1くらいですかね?」

「何だよそれは〜。嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

何度も言いますけど、僕は別に、セルテリシアが好きで口説こうとしてるんじゃないですからね。

どうせ口説くなら、女性じゃなくて男性が良い。

って、また脱線してるじゃないですか。

「どうしたら楽に口説けると思いますか?」

「ルーチェス君は格好良いんだから、君に『好きです』って言われたら、大抵の女の子はそれだけで落ちると思うよ」

そうですか?それはありがとうございます。

でも、いくらなんでも買い被り過ぎでは?

そんなに単純ではないと思いますよ。そう言ってくれるのは嬉しいですけど。

「残念ながら、それだけでは落ちそうにないんです。身持ちが固いようで」

男の気は全くなさそうだったもんな。セルテリシアは。

免疫もなさそう。

立場上、これまでも彼女にすり寄ってきた男…もしかしたら女も…は、たくさんいたと思うけど。

セルテリシアには未だに、決まった相手はいない。

つまり、近寄ってきた男や女は、全員門前払いを食らってきた訳だ。
 
そう簡単に籠絡してはくれまい。

あるいは、そうやってセルテリシアに近寄ろうとする不届き者は。

あの頭の固そうな側近二人に、ことごとく返り討ちにされてきたのかもしれないな。

つまり僕も、不用意にセルテリシアに近寄ろうとすれば。

側近二人に、拳銃で追い払われる可能性がある訳ですね。

うーん、手厳しい。

僕はこんなにも無害なんですけどね。

「そうかー…。うーん…。じゃあ、プレゼントを用意してあげたらどう?」

と、提案するセカイさん。

プレゼント?

「プレゼントですか…」

「うん。男の子からプレゼントをもらって、喜ばない女の子はそうそういないよ」

ルルシーさんが口にしていた、プレゼント作戦ですね。

エペルとミミニアには効きそうにないけど、セルテリシアはどうだろう。

「ルーチェス君より年下の女の子なんでしょ?だったら余計ウブな子だろうし。プレゼントを渡してあげたらイチコロだよ」

「ふむ…。ウブなのかは分かりませんが、プレゼントは良い案かもしれません」

「でしょー!」

セカイさんに相談して良かったですよ。

プレゼント…プレゼントねぇ。

何が良いでしょうね。プレゼント。

「何をあげるの?指輪とか?ネックレスとか?」

「いきなりそれは重くないですか?」

「えー、そう?私ルーチェス君と付き合ってた頃、いきなりルーチェス君に指輪もらったよ?」

そういえばそうでしたね。

あれ?僕ってもしかして…重い男子だった?

「もっと段階を踏むべきでした。済みません。一目惚れだったので早く結婚したくて」

「良いってことよ、ルーチェス君ったら。相手が喜んでるなら、プレゼントなんて何でも良いんだよ」

そうですか。ありがとうございます。

相手が喜ぶなら…か。

セルテリシアは何をもらったら喜ぶのだろう?

欲しいものがあれば、大抵のものは何でも手に入るであろう彼女が。

今更、他人に何をもらって喜ぶのだろうか?

「何あげるの?お花とか?香水とか?ブランドバッグ…は重いかな」

「ふむ…。まぁ考えておきます」

「うん、頑張れ!応援してる!」

「ありがとうございます」

セカイさんに応援してもらったからには、何としても成功させなければいけませんね。
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