The previous night of the world revolution~P.D.~
しかし。

「駄目だ。不在中は誰も通すなと、エペル様とミミニア様の厳命だ」 

頑固な強面構成員は、断固として譲らなかった。

頭が固い、頭が。

もう少し柔軟に考えることが出来ませんかね。

大体、「エペル様とミミニア様の厳命」って何ですか。

あなたの主人はその二人ではなく、この後ろの部屋にいるセルテリシア・リバニーなのでは?

仕える相手を間違ってませんか?

「ちょっと落ち着いて考えてみてくださいよ。僕は『ブルーローズ・ユニオン』の幹部であって、幹部としてリーダーに謁見したいと…」

「いかなる理由があろうとも、誰も通すなとの厳命だ」

馬鹿の一つ覚えみたいに同じことを繰り返して、強面構成員はマシンガンを構え直した。

これが目に入らぬか、と言わんばかり。

いや、目には入ってますけど…。

味方相手に、しかも僕は腐っても幹部だというのに。

よくもまぁ、平気でマシンガン向けられますね。

「…」

さて、どうしたものか。

折角意気込んでやって来たのに、まさかこんなマシンガンで「歓迎」されるとはな。

無理矢理…突破しようと思えば出来るが。

そんなことをすれば、この強面構成員は任務から帰ってきたエペルとミミニアに、今日のことを報告するだろう。

自分達がいない間に、僕がセルテリシアに近づいた、などと知れば…。

そりゃあもう、怒髪天を衝いて怒るだろう。

それどころか、余計エペル達の警戒心を強めるだけ。

信用を得るなんて夢のまた夢。

…強引な手段には出るべきじゃないですね。

セルテリシアに会うのにアポイントが必要なら、そうしよう。

ここまで来て、むざむざ引き下がるのは残念だが。

身の安全を確保する為には、そうするしかない…と。

思っていたそのとき。

運命の神様なんて信じちゃいないが、その神様が僕に微笑んだ。

「…これは何の騒ぎですか?」

強面構成員の後ろ、重厚な観音扉が開き。

中から出てきたのは、件のセルテリシア・リバニーその人であった。

…おっと、これは…。

どうやら、風向きが変わってきたようですね?
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