The previous night of the world revolution~P.D.~
「!セルテリシア様、お騒がせして申し訳ございません」

強面構成員はセルテリシアの姿を見て、急いでマシンガンを降ろした。

「あなたは…。ルーチェスさん?」

セルテリシアは僕の姿を認め、驚いたような表情をした。

…これは、もしかしてもしかしなくても、チャンスなのでは?

この好機を無駄にする選択肢はない。

「はい、ルーチェスです」

「どうしてここに…?」

「えぇ、ちょっと…。あなたとお茶でもしようかと思ったんですが」 

僕は白々しい顔をしてそう言った。

嘘じゃありませんよ。事実ですから。

「この人に止められてるんです。アポイントメントがないと駄目だとか…」

「…」

「それに、エペルさんミミニアさんの許可がないと、このフロアに足を踏み入れることも出来ないとか。…『青薔薇連合会』ではそのような規則はなかったので、知りませんでした」

という、僕の余計な一言がセルテリシアの心に引っ掛かったらしく。 

「…そうですか、分かりました」

一瞬だけ逡巡した後。

セルテリシアは、僕が望んでいた一言を口にした。

「彼を通してください」

マシンガンの強面構成員にそう言ったとき、僕は内心ガッツポーズをしていた。

よし、作戦成功。

「…!セルテリシア様、それはいけません」

「良いから通してください。彼は味方です」

そうそう、心強い味方ですよ僕は。

お喋りしたくなってきたでしょう?

「ですが…エペル様とミミニア様から許可が…」

まだ食い下がる強面構成員。

しかし、セルテリシアは僕の味方であった。

「二人には私から話しておきます。あなたに咎はないと。だから通してください」

「…畏まりました」

そこまで言われて、ようやく強面構成員は折れた。

後で自分が咎められないなら、好きにすれば良いと判断したのだろう。

ナイスフォローですよ、セルテリシアさん。素晴らしい。

お陰で出直さずに済みました。

「どうぞ、ルーチェスさん、こちらに…」

「ありがとうございます。…では、失礼して」

僕は、最初にして一番の難関である「門番」の洗礼を潜り抜け。

悠々と、セルテリシアの執務室に入れてもらえることになった。

ルレイア師匠なら、これを普段の行いの賜物だと言うでしょうね。

僕もそう思います。

やはり普段から善行を積んでおくべきですね。こういうとき、普段の行いが物を言うんでしょう。
 
「失礼します」

僕はセルテリシアに続いて、彼女の執務室に足を踏み入れた。

選ばれし者しか入れないこの場所に、ルレイア師匠よりルルシーさんより先に失礼します。

非常に光栄ですね。
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