The previous night of the world revolution~P.D.~
セルテリシアの執務室は、アシュトーリアさんのそれよりも一回り大きかった。   

無駄に豪華な調度品が、まるで見せつけるかのように鎮座している。

…王宮にいたときみたいだな。

アシュトーリアさんに対抗しているつもりなのかもしれないが…やり過ぎると、逆に品位ってものが失われると思うんですが。

これがセルテリシアのインテリアの趣味なんですかね?

それとも、セルテリシアと言うより…彼女よりも権力を持っているであろう、セルテリシアの側近二人の趣味か?

いずれにしても、良い趣味とは言えないな。

しかし、僕はそんな態度などおくびにも出さなかった。

当然ですけど。

「入れてくれてありがとうございます。まさか、幹部クラスでさえアポイントメントがないと会わせてもらえないとは…。『青薔薇連合会』では有り得なかったので」

天然な顔して、ちょっと嫌味を混ぜてみると。

セルテリシアは、自嘲気味に笑って答えた。

「そうでしたか、済みません…。私ももっと、部下や仲間達と距離を縮めたいと常々思っているのですが…」

「それが出来ないのは…もしかして、エペルさんとミミニアさんに止められるから、ですか?」

「…はい」

ふむ。やはりこの人、側近二人に頭が上がらないようですね。

どちらがリーダーなんだか。

「組織の頭たる者、威厳を持って部下に接しなければならないと…」

威厳を持って…ねぇ。

部下に冷たく当たるのが、威厳のある姿ってことですか?

それは間違ってると思いますけど。

「そうですか…。じゃあ、今こうして僕がここにいることをエペルさん達に知られたら、怒られてしまいますね」

「大丈夫です。二人には内緒にしておきますから」

助かりますよ。

じゃあ、それで僕とセルテリシアは今だけ共犯者ってことで。

宜しくお願いします。

「お茶を淹れますね。手土産にお菓子も持ってきました」

「ありがとう」

まずは、セルテリシアに接触することに成功。

あとは…僕の拙い話術を披露するばかりだ。
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