The previous night of the world revolution~P.D.~
「私は首領の器ではありません。『ブルーローズ・ユニオン』のリーダーというだけでも…私の身に余るというのに…」

エペルとミミニアに両脇を支えられてようやく、って感じですもんね。

優秀な摂政がいなかったら、今頃サナリ派は壊滅状態だったでしょうよ。

それはそれで、新『青薔薇連合会』派としては助かったんだが。

「私は大叔父様やアシュトーリアさんのように、力強く皆を導くことなど出来ません。サナリ派の皆さんが、私を首領として期待してくれているのは分かります。でも…私はとても…」

「…」

「私は…『青薔薇連合会』の首領にはなれません」

…。

…そうですか。

その言葉を聞けて安心しましたよ。

次期首領候補(笑)がこんなに及び腰なら、サナリ派に現状、明るい未来は期待出来まい。

ようは、あのエペルとミミニアが二人で暴走しているだけだ。

「もっと相応しい方がいるはずです。私ではなく…アシュトーリアさんや、それにアイズレンシアさんも…」

「…総長…アイズさんと面識は?」

「ほとんどと言って良いほどありません。サナリ派はアシュトーリアさんのことも、そのアシュトーリアさんに指名された次期首領のアイズレンシアさんのことも、酷く目の敵にしていますから」

セルテリシア個人の見解がどうであろうと。

セルテリシアはサナリ派の代表として、敵対するヴァルレンシー派の代表とは、気軽に言葉を交わすことも出来なかったのだろう。

うーん。派閥争いって恐ろしい。

シェルドニア王室が、『白亜の塔』なんてものまで作って王位継承争いをする訳だな。

仁義なき戦いですよ。やれやれ。

「もう面倒臭いからじゃんけんで決めろ!」と言いたいところだが、それで決められないのが辛いところ。

「ですが…彼の立ち居振る舞いを見ただけで分かります。彼は私より、遥かに優れた『青薔薇連合会』次期首領候補です」

セルテリシアも自覚はあったらしい。

自分はアイズ総長には、到底及ばないと。

でしょうね。
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