The previous night of the world revolution~P.D.~
しかし、悪いことばかりではない。

良いニュースもあるのだ。

陰鬱なヒソヒソ話をしていた構成員の二人が、一転して明るい声を出してこう言った。

「大丈夫だ、俺達にはアシュトーリアさんや、アイズさんだってついてるじゃないか」

「…そうだよな。サナリ派に首領の座を譲ることはないって、アシュトーリアさんがそう宣言したんだろう?」

「あぁ。古参の幹部組だってついてる。正統性はこっちにあるんだ」

…そう。

サナリ派に首領の座を譲るつもりはないと、アシュトーリアさんがそう宣言したのだ。

『青薔薇連合会』の構成員にとって、これほど力強い言葉があるだろうか。

私は両手に抱えた花束を抱き直して、上に登るエレベーターのボタンを押した。

向かうは、『青薔薇連合会』本部の最上階。

組織の中でもっとも権力を持つ人間のみが、この部屋に住まうことを許される。

私はその部屋を訪ねた。

「アシュトーリアさん。調子はどうですか?」

「あら、アイズ。…いらっしゃい」

そこにいたのは。

新『青薔薇連合会』派、通称ヴァルレンシー派の代表にして、『青薔薇連合会』の現首領。

アシュトーリア・ヴァルレンシー、その人であった。
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